ニッケイ新聞 2010年1月12日付け
年末から年始に、サンパウロ州やリオ州で下痢や嘔吐などの発生増加との報告と共に、デング熱拡大への警告が発せられている。
サンパウロ州やリオ州での胃腸障害は、8、9日付エスタード紙、9、11日付フォーリャ紙などが報じたもので、特出しているサンパウロ州グアルジャーでは、12月31日~1月3日に780人など、12月後半から1月第1週に1500人の患者が救急外来を訪れたという。
下痢の他に嘔吐や体の痛み併発の例もあり、専門家は水や食べ物が原因と見ている。同種の症状はプライア・グランデやサントスなどでも報告され、10日のウバツーバでは、サンタカーザ病院受診者150人中50人が下痢を訴えていた。
また、これらの症状を訴える患者は、海岸部だけではなく、サンパウロ市やリオ市などにも飛び火。
例えば、6~8日のサンパウロ市ベネフィセンシア・ポルトゲーザ病院救急外来での小児科受診者は通常の1・5倍で、9割が下痢や嘔吐で受診。大半は海岸で休暇を過ごした子供だという。
高温多湿で体の免疫機能も落ち易い夏は、食中毒なども起き易いが、下痢や嘔吐が起きた時怖いのは、子供や高齢者などに起き易い脱水症状だ。
食事前や準備時に手を洗う、食物管理を厳密にし雑菌の繁殖を避ける、海岸で売っている物は食べないなどの注意の他、水分や栄養補給を忘れない事も大切だ。
サルモネラ菌など毒性の強い菌に感染した場合は死に至る事もあり、全国での下痢による死者は年40万人にも及ぶ。
一方、11日付G1サイトでは、高温多雨のこの夏は、11月から患者増加傾向のサンパウロ州でデング熱拡大懸念の報道。3日に51歳の女性が死亡したリベイロン・プレットでは、09年中に1500件、今年も毎日1人の患者発生が報告されている。アラサツーバでも、1週間に33人の患者発生が確認されている。
グアルジャーでは、11月15件、12月27件の患者発生というが、これは09年通年の55人の80%。08年(22人)の倍だ。
地球温暖化に伴う高温多雨で種々の病気拡大が懸念される夏。拡大と重症化防止には個々人の注意と地域協力も必要だ。