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アスンシオンで逮捕されたロージェル元医師(Secretaria Nacional De Antidrogas do Paraguai)
アスンシオンで逮捕されたロージェル元医師(Secretaria Nacional De Antidrogas do Paraguai)

「女性の敵」=パ国で逮捕=不妊治療のロージェル氏=診療所で強姦や受精卵売却

 サンパウロ市西部の診療所で不妊治療を受けに来た女性を強姦するなどの罪で2010年に278年の実刑判決を受けたが、その翌年からパラグアイに逃亡していたロージェル・アブデルマッシ元医師が19日に同国で逮捕されたと20日付伯字紙が報じた。
 元医師は1996年にペレ夫妻の不妊治療に成功。同夫妻が双子を得た事や成功率は30%だった不妊治療で50%が成功と報じられた事で、国内外から患者が殺到し始めた。患者には著名人も多く、3回まで人工授精を試みるパックの値段は2008年には3万8千レアルに達した。
 だが、08年に診療所元職員が元医師に力づくでキスされたと訴えたのをきっかけに検察が本格的な捜査を開始し、名声が地に落ちた。2009年1月に元医師が捜査対象となっていると報じられてからは、自分も被害者だと訴える女性が後を絶たず、同年6月に検察が起訴。同年8月に診療所で逮捕された。
 被害者達は診療所での強姦、卵子採取のための麻酔で動けない患者への直接・間接の性的行為などを次々に告発。被害者協会会長のテレーザ・コルディオリさん(63)の様に、17歳の時に元医師の研修先のカンピーナスの病院で強姦されたが何度も脅迫されて告発出来ず、別の病院に転院したものの、今も元医師に対する恐怖心が残っているという人もいる。
 元医師は弁護士のマルシオ・トマス・バストス元法務相らの働きかけで最高裁から人身保護令の適用を受け、2009年12月に釈放された。
 2010年11月には37人に対する48件の犯罪に対する有罪判決を受けたが、刑軽減を求める弁護士と厳罰化を求める検察が上告。同年7月にはサンパウロ州地方医師会、2011年5月には連邦医師審議会(CFM)が医師資格剥奪を決めた。
 元医師への再度の逮捕状は2011年1月の旅券更新申請拒否と共に出たが、元医師は偽の書類でパラグアイに逃亡。元医師が同国にいる事はサンパウロ州内陸部での資産売却に伴う告発などで判明し、18日に現地入りした連邦警察官の協力を得た現地警察が逮捕した。
 同国での元医師は不法滞在者でもあり、新しく生まれた2人の子供の学校から出てきたところで逮捕、妻や子供達の母にあたる女性と言葉を交わした後に連行された。元医師は同日中にパラナ州フォス・ド・イグアスに移され、20日午後にサンパウロ市到着後はトレメンベーの刑務所に収監される。
 元医師の罪状は性的犯罪だけではない。10年の判決後は、依頼者以外の卵子や精子による受精卵を当時者の承諾も得ず使った妊娠・出産例や、資金洗浄、文書偽造などの疑惑も表出している。