ブラジルの穀物生産は順調に伸びているが、食品加工業界の伸びはそれについていっておらず、生産向上の恩恵に与れずにいる。
加工施設などの整備が生産の伸びに追いつかない代表例は、過去10年間に生産量が73%増えた大豆だ。
残念な事に、同じ10年間に大豆を粉にする能力は35%しか伸びていない。加工材料として利用された大豆の量に至ってはわずか28%しか伸びていないという。
生産量は増えたのに加工された大豆の量はわずかしか増えていないという事は、そのままの形で利用されたり、輸出されたりしているという事を意味する。
2004年に国内で加工された大豆は、収穫された総量の57%に及んだが、今年の場合は、その比率が42%に落ちると見込まれている。
一方、加工されないまま、原材料として輸出される大豆は、全生産量8650万トン中4500万トンに上る見込みだ。
供給先が国内であれ国外であれ、大豆が単なる原材料として扱われた場合の恩恵を受けるのは、物流業界のみだ。ブラジルにとって最大の顧客である中国は、自国内の雇用を確保するためにも、原材料としての大豆の輸入を好んでいる。逆を言えば、ブラジルは加工業に携わる人々を雇用する機会を失い、それに伴う税収も減らしているという事になる。
ブラジル植物油工業会(Abiove)のファビオ・トリゲイリーニョ会長は、ブラジルは国内に対しても国外に対しても、食品加工を促進するための政策が不足しており、多くのメリットを失っているという。
例えば、マット・グロッソ州で生産した大豆を他の州で加工しようとすれば、原材料としての大豆を輸送するために必要な税金が数々ある上、加工業者も、社会統合基金(Pis)や社会保険融資納付金(Cofins)の恩恵に与る事がむずかしい。
食品加工業界における設備投資などの不足はここ数年、特に顕著で、2008年は1日に15万4千トンだった加工能力は今年、わずか16%増の17万8千トンにしか至っていない。この間の大豆の生産は51%増えているから、加工業界の立ち遅れは明白だ。ファビオ会長は「ブラジルの食品加工業界は国内向けの加工にしか目を向けていない」という。
国際価格低下により、今年の大豆とその加工品の輸出金額は、2013年の310億ドルを下回る297億ドル程度で終ると予想されている。大豆貿易の中心は大豆そのもので、輸出額は225億ドルに達する見込みだ。挽いた後の大豆の輸出額は60億ドル、大豆油は11億ドル程度と見られている。(19日付フォーリャ紙より)
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