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世界経済の回復は本物か=目を瞑れない刺激策反動=本当の安定化はまだ遠い

ニッケイ新聞 2010年1月14日付け

 グローボ紙のコラムニスト、ミリアン・レイトン氏が12日のブログに、アウヴァロ・グリベウ氏と連名で、世界経済は再び成長し始めたが、まだ問題を残しているとの論説を掲載した。
 米国経済は回復し始め、日本もバブル崩壊以来の経済危機から脱出など、世界経済回復の兆しはあるが、その一方、銅価格150%上昇など、回復の一言で説明できない現象も起き、世界経済の回復はまだまだ不安定で、今後も、景気刺激策の反動などが起きる危険性を孕んでいる。
 回復が不安定である証拠は、バブル形成懸念の拡大や、長期化した政府援助依存傾向、公共赤字増加など。
 国際金融危機乗切りのために各国政府が採った対策は、極端な金利引下げ、銀行救済、景気刺激のための大型政策連発など、従来見られない程劇的なものだったが、その効果は国毎に差があり、回復速度も遅い。
 例えば、2009年の国内総生産(GDP)が4・1%縮小で終った欧州連合(EU)では、2010年に0・7%、2011年に1・6%との成長予想も出ているが、クレジット市場で負債問題を抱える米国同様、雇用の劇的回復は見込めない状況だ。
 それでも、英国のエコノミスト誌1月19日号が、44カ国中36がGDP縮小の2009年と比べ、今もリセッション継続は3カ国と報じた様に、この1年間で状況は大きく変化した。
 一方、対ドル固定相場制を維持する中国元は、ドル下落によってむしろ輸出競争力を増し、為替の変動で苦しむ各国からの不満が募っている。
 この様な状況下でのブラジルの課題は、対米輸出を含む、世界貿易での失地回復。対米貿易は、7年間続いた対策不足と為替不均衡で、輸出総額が152%も伸びたのに2・3%しか成長せず、輸出全体での比率も25%から10%に減っている。
 世界銀行副総裁も務めたイアン・ゴルディン教授は、1980~2005年の国際交易額は18倍に増えたなどの数字を挙げ、危機脱出には世界的な金融機構改革が必要と説くが、中銀総裁や国際機関責任者らは動き出しておらず、本当の安定化はまだ先だという。