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セーラサンパウロ州知事=「目指すはブラジルの未来」=「野党代表ではない」=党の役目は政府批判に非ず=従来の政治概念から脱皮

ニッケイ新聞 2010年1月16日付け

 セーラサンパウロ州知事は14日、大統領選への出馬を3月に決定、選挙キャンペーンはブラジルの未来における発展のみを目指すことを強調、政治の左右2極時代の終焉を示唆と15日付けエスタード紙が報じた。同知事は「野党代表ではなく、またPSDB(民主社会党)の役目は与党批判でもない。現政権の政治とは、次元の異なる概念を採る。ルーラ路線の行方については、全く意識していない。政治手法は、時代や利害関係、外的圧力とは無関係とする」と述べた。
 セーラサンパウロ州知事の施政方針、第一声といえる。ブラジル政治の概念が、変わるようだ。ルーラ大統領はPT(労働者党)政権継続のために、選挙法の規定以前から準備作業に精を出していた。
 PT政権の思惑通りに物事が運ぶなら、中下層階級を取り込み前政権との相違を強調するルーラ戦略は、功を奏すると思われる。セーラ知事の声明は、ミナス州のネーヴェス知事の政治姿勢を取り入れたようだ。
 ネーヴェス知事は、政治的にブラジルの成長を示す「ルーラ時代後」を打ち出した。一世を風靡したルーラ人気は、政治の一時代といえる。だからルーラ大統領は、前政権との相違を頻繁に引き合いにした。セーラ知事は、PT次元の相違比較をさせない。
 ブラジルの09年度経済成長率はゼロ、輸出は激減。このようなブラジルの惨状を傍観するのは、ブラジルの政治家に相応しくないとする同知事の訴えに、PSDBが反応を示した。
 セーラ宣言は、ブラジル政治の新しい息吹きだとする声がある。サンパウロ州知事を中心とする一団にも、同じことがいえる。ルーラ大統領の前座攻勢には、党公認候補選出で党内反対派の口封じを急ぐ狙いがあった。
 政治歴もなく選挙の禊経験もない、政界の汚れにまみれていないロウセフ官房長官を大統領は選び、選考する時間も議論もさせなかった。官房長官は走りながら、大統領候補の勉強をした。 
 ここに両見込み候補の大きな相違がある。セーラが戦うのは、ロウセフであってルーラではない。選挙民は、何をもって候補者を選ぶか。どの候補が自分の生活をより豊かにするかだ。
 レアル・プランによるインフレ終息か、生活扶助金か。しかし、ルーラ人気は、相続できないことも判明した。セーラ知事は、どちらも採らずインフレなき未来の生活スタイルを目標とした。