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WSF2010が始まる=発祥地のP・アレグレで=討論会に政府関係者不在

ニッケイ新聞 2010年1月27日付け

 スイスのダヴォスでの「世界経済フォーラム」に対抗して作られた「世界社会フォーラム(WSF)」が、25~29日、南大河州大ポルト・アレグレ圏で開催中だ。
 たった2割の人が世界の富の8割を独占し、残りの人は貧しいままという現状に異を唱えるWSFは01年開始。戦争も、搾取も、抑圧も、環境破壊もない「もう一つの世界は可能だ」を合い言葉に、草の根の民衆が出会い、語りあい、論じあうための会議は、初回始め過去4回開催のポルト・アレグレを中心とした地域で開催される。
 初回会議では、労働者党(PT)率いる同市政府が、伝統的な代表権を持つ機関と住民の公開会議を組み合わせるという地域政府の革新的モデルを実験。世界中から1万2千人が参加し、翌年大統領選でのルーラ大統領当選への弾みとなった。
 09年のベレン会議にはルーラ大統領やジウマ官房長官らの政府関係者他、南米諸国首脳も出席したが、今回の会議初日は、出席を約束したタルソ・ジェンロ法相を含む政府関係者が一人も出席しないという異例の運びとなった。
 24日付フォーリャ紙などによると、現在のポルト・アレグレ市長は、10月の知事選では現法相の最大の対抗馬と見られている民主運動党(PMDB)のジョゼ・フォガッサ氏。今回の会議がPT市長を擁する5市と共同開催となったのも、こういう政界事情を反映したという。
 10年の節目の年となる会議では、10年間の統括や、金融危機や先住民問題、地球温暖化などの環境問題他、「社会的人権擁護における政治の公的役割」をテーマに第4回社会政策セミナーも開催。同セミナーには、元環境相のマリーナ・シウヴァで上議らも発題者として参加する。
 24日付フォーリャ紙や26日付エスタード紙も報じる様に、高学歴で若い人の参加が多いWSF。現行政治や社会体制への疑問を呈し、改革を求める機運が、今年の大統領・知事などの選挙にどんな影響を及ばすかは未知数だが、来年のセネガル、ダカールでの国際会議までには、29日からのサルバドール会議など、地域、国別に27企画が予定されている。