ニッケイ新聞 2010年1月27日付け
103年の歴史初、日系上議誕生へ―。マット・グロッソ州選出の故ジョナス・ピニェイロ上院議員の第2補充だった柳井ジョルジ義昭さん(DEM、61、二世)が、すでに繰り上げ就任していた第1補充のジルベルト・ゴエルネル上院議員の代理として、5月頃から120日間、同職務を務めることがこのほど決定した。上院議員(任期8年)は、各州3人が輩出され全伯81人。ニッケイ新聞の電話取材に柳井さんは、「日系の価値を高めていきたい」と流暢な日本語で国政へ意気込みを見せた。
柳井さんは1949年北パラナ州バンテイランテス市生まれ。
パラナ連邦大学医学部を卒業後、79年にマット・グロッソ州シノピ市で産院を開業し、現在同地に住む。91~94年には、同市の代表として同州議員を務めた経験を持つ。
ジョルジさんの母綾子さん(87、広島県双三郡布野村出身=現在三次市)は32年(当時10歳)、らぷらた丸で来伯。北パラナのカンバラにあったファゼンダ・バルボーザでカフェ作りに携わった。
父正至さん(島根益田市、故人)は35年第5回高拓生として、アマゾンに入植した。
39年にバンデイランテス市で結婚後、4男をもうけた。ジョルジさんは末っ子。
「親孝行でおとなしい子だったので、政治家になるなんて想像もしなかった」と話す綾子さんは驚く。
ジョルジさんは、約100の日系家族が会員となるシノピ日本人会にも家族で所属している。
同会の草野岩根会長(61、二世)も「会員皆で応援しています」と喜びで声を弾ませた。
柳井さんは、「農業、保健、教育のあり方を見直していきたい」と意気込みを見せ、「今回、議席を持てたのも、全て家族が移住したおかげ。日系の政治家として、日系の価値を高められるようブラジルのために努めていきたい」と力強く語った。