ニッケイ新聞 2010年1月30日付け
ルーラ大統領は27日、血圧が180/120に達し不調を訴えたためレシッフェのレアル病院へ入院と29日付けエスタード紙が報じた。大統領は同日夕、特別招待を受けたダヴォスの経済フォーラム出席を懇願したが、フェレイラ主治医から差し止められた。医師の診断では、大統領は慢性高血圧ではなく、ストレスと風邪が原因だという。大統領は28日、帰聖、大統領専属の心臓専門医カリル氏の診察を受けた。今週の予定表は一切中止、日曜日まで安静を命じられた。
大統領が体調不振を訴え始めたのは25日からで、26日も気分がすぐれないとして記者会見を中止させていた。
だが、容態がいよいよ悪化したのは27日午後。レシッフェ郊外の救急病院竣工式で開所の辞を述べるときも、喉の痛みと呼吸困難を覚え、主治医が大統領の急変を察知。州知事主催の晩餐会では食欲もなく、軽い物を口にしただけだった。
大統領の旅行に同伴する主治医は、大統領の日程の厳しさが常軌を逸しているため、散発的症状を呈すると見ていた。
大統領の日常生活は、無理の一字に尽きる。睡眠不足と不規則な食事、体重超過、運動不足などが蓄積し、血圧異常となって表れた。これは、心筋梗塞や脳内出血、腎不全の前兆といえる。
大統領のような症状が表れる前に軽度の頭痛や酸欠、食欲不振、疲労感、目まいが起きることがあるが、忙しさにかまけて見過ごす。20%の人は、体の警告を見落とすという。
ストレスと塩分の摂りすぎが、血圧上昇の主な原因とされる。その他に飲酒と喫煙が、拍車をかける。症状の悪化を防ぐため、生活スタイルの工夫を考えること。
ルーラ大統領本人は、主治医の忠告など馬耳東風。大統領任期の最終年は、マラソンのゴール寸前。特に大統領選では、手抜きができない。大統領の日程表は、パリ~ダカールの過酷ラリーそのものといえる。
側近らは、大統領の過労症状を肌身に感じている。それなのに、チェック・アップもしない。アレンカール副大統領は病人で、ロウセフ官房長官は癌あがり。それなのに大統領まで、病人になりに行くかと本人はいう。
「大統領は病人でありますといわれたら、ブラジル連邦共和国はどうなるか。大統領は死にたくても死ねない立場にある。体に何かがあるのは、知っている。しかし、決して体重計には乗らない」というのだ。