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「南米から具体的要望を」=日系農協活性化セミナー=全中=樋口氏が呼びかけ=南米農協交流の活発化へ

ニッケイ新聞 2010年1月30日付け

 ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの4カ国、計11の農協が参加して、25日から3日間にわたりサンパウロ市で開催された「第10回日系農協活性化セミナー」が27日、終了した。各農協から現状報告や問題点が発表されたほか、全国農業協同組合中央会(JA全中)の樋口直樹総務部次長の講演があり、日本のJAとの提携の推進について話し合う場ももたれ、昨年1月から実質的に始まった南米日系農協連絡協議会の活動方針の確認が行われたが、具体的な進展はなかった。JICA、ブラジル農業拓殖協同組合中央会(農拓協)の共催。

 セミナー3日目の27日には、全中の樋口総務部次長が「日本の農協の現状と課題」と題して講演を行った。樋口次長は今回の衆院選で民主党が政権をとったことに触れ、「農林水産省などへ意志が伝わりにくくなる、など日本の農協、農家へ与える影響が懸念される」と説明した。
 また、1990年以降、新規就農者は増加傾向にあり、個人農家が集まり法人として経営したり、飲食業者が農家と提携したりと、農業への関わり方に変化が見られているという。
 質疑応答では、日本の食料自給率は40%であり、JAは中南米から食物を輸入する計画があるかとの質問には「パラグアイから要請を受けている。JAも一民間組織として商売になるか見極めたい」などと答えた。
 最後には、南米日系農協連絡協議会(会長=インテグラーダ農協・小山晃ジュリオ副組合長)とJAの提携の推進が話し合われた。
 同協議会には活動資金としてJAグループから500万円の事業資金が用意されているが、今のところ同協議会が開催する行事の経費に使われている。
 小山会長は、「来年の予算や使用の目的などを念頭に置きながら、計画を検討したい。また、他国で生かせる技術を広めるために、技術交流を目的に予算を使ったらどうか」と提案をした。
 今までは今回の様なセミナーの農家視察ツアーのバス代や、農業婦人大会の一部に使用されている。
 樋口次長からは、「南米側の具体的な要望や、南米の農協について基本的な情報をもっと提供して欲しい」との積極的な発言もあった。
 今後は事業資金の拠出を決めた総務課長も兼任することが発表され、同次長は、「全国のJAに呼びかけて交流の機会を増やし、南米側の役に立てるよう働きかけたい。日本の農協にとっては日本語が通じる海外農協との繋がりは魅力的、交流の目を作っていきたい」と話をした。
 今後の活動方針としては、セミナーを続けて南米間の農協交流を活発化させ、JAとの情報交換を続けていくなどの説明があった。ただし、今回のセミナーでもJAとの提携事業の具体案は検討されなかった。