ニッケイ新聞 2010年2月4日付け
【ロンドリーナ発・金剛仙太郎記者】「こういう結果になると思っていなかった」。新会長に決まった嶋田巧さんは就任の挨拶で、困惑した様子で述べた。リーガ・アリアンサ(パラナ日伯文化連合会、丹多喜男フランシスコ会長)は1月31日、午前9時から、ロンドリーナ市の同連合会会館で定期総会を開催し、役員改選では同会初の2つのシャッパが提出された。協議の結果、「しこりを残さない」ために決選投票は行われず、元連合会会長の嶋田巧さん(76、二世)が会長に選出された。シャッパを提出した丹会長と池田甚太郎副会長の2人が第1副会長に選出されるという異例の事態で総会は幕を閉じ、2年後に問題を持ち越した形でその場を収めた。
林セルソ・ヒデアキACEL副会長の司会のもと総会は始まり、丹会長が挨拶の中で「08年は百周年、09年は連合会初のオリンピック(体育総合大会)を開催したりと、各支部で連携して取り組めて良かった」と2年間を振り返り、西森ルイス弘志評議員長が開会宣言、幕を開けた。
岩波由佳・在クリチーバ総領事代理、千坂平通JICA聖支所長など来賓も招待され、連合傘下33団体の代表ら、約200人が集まった。
続いて09年度の会計報告がされた。09年12月31日現在での全体収入は約31万レアル、全体支出は約51万4千レで約20万レの赤字であることが報告された。ただし、未納入の会費や寄付が入金予定であることが付け加えられた。
続いて役員改選に移り、丹会長と同連合会の池田副会長からそれぞれシャッパが提出された。同連合会初の複数シャッパを受け、西森評議委員長の提案で投票権を持った各支部の会長、名誉会長らが別室に集まり臨時会合を行った。「どちらが選ばれても連合会が分裂する」などと協議され、その結果、中立の立場である元会長の嶋田さんが選出され、第1副会長には丹氏と池田氏の2人が選出された。
嶋田会長は就任の挨拶で、予想外の結果に驚いた様子で、「一応引き受けるが歳をとっているので無理だと思います。私は相談役のような形で、2人の副会長が中心となり、パラナや日系コロニアのために頑張って欲しい」と挨拶した。同選挙で決定した役員は以上3人のみ。
続いて池田副会長により、10年度事業(行事案)、予算案の審議が行われた。さらに、パラナ日伯文化連合会の竹村エーデル・インテル青年部長から文協ネット・リーガアリアンサの様子が紹介され、総会は閉会した。その後は上野憲治・同連合顧問が乾杯の音頭をとり、懇親会が催された。
ニッケイ新聞の取材に対し、嶋田会長は2つのシャッパが戦うとしこりが残るので、支部の会長のみんなが反対をしたと説明。嶋田さんが立候補するなら、2人ともシャッパを取り下げて副会長に就くとの話で落ち着いたようだ。
嶋田会長は「私自身には目標も何もないので、2人に任せるしかない。でもパラナ日本語教育センター長として、子どもの教育に力を入れていきたい」と述べた。
どうなる「夢」計画=実現可能性に疑問も
パラナ州百周年祭典委員会がローランジア市の移民センターに構想しているテーマパーク「夢」プロジェクトに関して、丹副会長をはじめ5人で委員会が組織されている。丹副会長によれば、設計図は出来ており、園内には電車を走らせ、100年の移民の歴史が学べるようなもの、さらには劇場やレストランなどの建設を予定している。
しかし、嶋田会長ら関係者によれば、書類上の準備などをしているが、計画は進んでおらず、建設予定地が決まっているのみだという。ある役員は「本当の〃夢〃かな」と同プロジェクトについて揶揄し、実現可能性に疑問をはさんだ。