ニッケイ新聞 2010年2月10日付け
なぜ日本は言われっぱなしで放っておくのか。先週も反捕鯨団体の船が日本の調査捕鯨船にぶつかる事故が起きたが、TVグローボは「日本の捕鯨船が環境活動家の船に激突」というロイター通信を垂れ流し、活動家側の船から撮影された、日本の船の方からぶつかっているような映像を放送していた。グローボ報道を見た一般視聴者の大半は「日本人は危険」とのイメージを持つだろう▼一方、産経新聞6日付けでは「調査捕鯨船にレーザー光線、乗員失明の恐れも」などの見出しで、抗議船が「乗組員の目に当たれば失明の恐れのあるレーザー光線を照射するなどの妨害活動を開始し」た上で、「有害な液体の入ったビンを投げつけるために急接近。第3勇新丸は回避行動をとったが、その際、船尾に接触されていたことが判明した」とあり、まったく印象がことなる▼NHKなどが日本側の主張を込めた報道をポルトガル語で発信しないと、この状況は変わらない。NHKの巨大化を民放が危惧しているとの声は聞くが、「島国根性」で相手の足を引っ張るのではなく、世界における日本の立場を強化する視点を持つ必要がある▼例えば英BBCブラジルは現地協力者を入れれば50人もの陣容で、ブラジル関連ニュースをポ語配信して主要伯字紙に転載されている。また中国政府機関によるポ語ニュース発信も存在感を増す▼西洋社会では「沈黙は金」は通用しない。「反論しない」=「認めた」と理解されがちだ。日本語教育、日本文化普及しかり。国家財政が苦しい時だからこそ、むしろ、日本を世界に正しく理解してもらうための努力には大金を注ぐべきだと思う。(深)