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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年2月13日付け

 あの朝青龍がニット帽にTシャツ、Gジャンでハワイの海岸を闊歩しているそうだ。優勝した晩に泥酔した挙句―男を殴打し怪我をさせた元がつく横綱である。事は傷害であり警察も捜査中らしいが、余りの横暴さに相撲協会も「解雇」に傾いたようだが、情状酌量ということで引退を迫ったのが実情に近い。そこで涙の引退表明となったのだが、暴行問題の重要性を考えれば、物見遊山でもあるまいにー▼しかも、相撲協会は、この相撲道知らずで倫理観なしのモンゴル力士に1億2000万円の特別功労金を支給すると決めた。確かに強い横綱だし、25回の優勝や2005年の史上初の7連覇は凄い。だがーである。骨折とし休場しているのにジンギスカンの大地に帰りサッカーに興じ、親方衆はカンカンに怒り厳重注意や2場所の出場停止処分もある▼この他に協会は退職金やらを合計すると4億4千万円近くを支給するという。まあ、モンゴルの荒野で暴れていたままの力士だったけれども、土俵人気はずば抜けている。これが見事な相撲ぶりで引退した人なら4億でも5億円でも世は拍手喝采である。しかし、朝青龍となると、話は別である。横綱審議会委員だった内館牧子さんの朝青龍批判は厳しくも鋭かったし、あの不謹慎ぶりはもっと責任を問うのが筋ではないか▼4日には横綱審議会も、朝青龍への引退勧告を決議したが、これは設置してから60年で初めてであり異例中の異例である。兎にも角にも、武蔵川理事長を始めとする師匠の高砂親方らの判断は余りにも甘すぎる。 (遯)