ニッケイ新聞 2010年2月16日付け
コンサルタントLCAは13日、国内6大都市の消費者の債務総額が昨年末、年間国民所得の40%に当たる5550億レアルに達し、過去最高となったことを発表と15日付けエスタード紙が報じた。これは各消費者が5カ月分の所得と年金、手当てを、クレジット・カードや特別小切手、その他ローンなどの債務決済に支払わねばならないことを意味する。昨年の金融危機の折、銀行が通常の50%増リスク負担を容認し、留保金を債務不履行決済に充てようとした結果と見られる。
ブラジルの歴史で消費者が、これほど借金にトップリ浸かるのは初めてだという。ローン・システムが発達し、お金がなくてもクレジット・カードがあれば、困らなくなった。決済? 明日は明日の風が吹く。
大サンパウロ市圏とリオ都市圏の消費者2千世帯を調べたところ、借金がある世帯は、08年の60%が09年は65%へ増加。
ローンを組むための世帯所得は過去12カ月、減少しているとLCAはいう。所得に対するローンの支払い額は08年、5・9%であった。それが年末には、15%へ増えている。
所得が減少傾向にあるのにローンが増えるのは、決済期間が延長されたため。決済期間は06年から09年、17・3カ月から31・1カ月と倍増された。
決済期間が延長されると、金利の高低に関わらず、消費者は銀行へより多くの金利を支払い、銀行を肥らせる。雇用が安定すると消費者ローンも増えるが、債務増額は、債務不履行が増える可能性増大も意味する。
11年は緩やかな景気回復が見込まれ、債務不履行リスクの増加も見込まれる。Serasa(銀行サービス)の不履行指数は12月まで4カ月続騰し、来る6か月の不履行増加を暗示する。
2月の不履行は少し落ち着いたが、6カ月ではまた悪化が予想される。不履行には三つ原因がある。1は経済成長率を超えるローンの増加率。2は消費者所得の侵食と小刻みなインフレが債務不履行に拍車をかける。3は市中の消費者金利が上昇したこと。