ニッケイ新聞 2010年2月19日付け
パレードこそ見なかったが、カーニバルの街の喧騒や昂揚感は、リオに勝るものはない。
バスでの帰聖中。耳の奥に残ったサンバのリズムを楽しみつつ、うつらうつら。ふと気付くと、バスが停まっている。
渋滞でも事故でもない。交通警察の前。運転手はいないようだ。
なるほど―。数年前だがリオへの道中、同じようなことがあった。警察が小遣い稼ぎに難癖をつけ、バスを行かせない。結局、乗客同士でわずかばかりのお金を出し合ったことがある。
運転手は戻らない。これは長期戦かな―と考えていると、運転手が警察署のトイレから、ベルトを締めながら出てきた。
さては羽目をはずし、ビールの飲みすぎで腹を壊したか。
車内に起こった忍び笑いを耳朶に感じつつ、カーニバルの余韻にまた目を閉じた。(剛)