ニッケイ新聞 2010年2月23日付け
ヒラリー・クリントン米国務長官は2月28日または3月1日、アモリン外相と会談するため訪伯と外交筋から報告があったことを22日付けフォーリャ紙が報じた。
主な訪伯目的は、イランの核問題でブラジルの見解について話し合うこと。その他ハイチやホンジュラス、コロンビア米軍基地、戦闘機の機種選定、綿に関するWTO(世界貿易機関)判決についてギクシャクした外交関係の是正を行う。
同国務長官の来伯は、シャノン駐伯米大使の赴任後に確認されていた。両国のズレは、益々拡大。米政府は国連安保理のイラン制裁で各国に協力を要請する中、ブラジルが歯止めとなった。
イランがウランの20%濃縮へ踏み切ったことで、情勢は緊迫化。イランが強気なことで、核兵器の製造能力疑惑が濃厚となった。そこでブラジルが対話路線を継続するなら、イラン制裁は無力化が懸念された。そんなときルーラ大統領の5月イラン訪問が、予定されている。
またハイチ地震では、伯米両軍が救援活動の主導権争いを演じた。ブラジルは国連平和部隊の総司令部役を任じているのに、飛び入りの米軍が物量作戦で主役を演じた。
伯軍はハイチ再建を計画中であるが、米軍は独自の再建計画で油揚げをさらおうとしている。
ホンジュラスについては、ルーラ大統領が同国のOAS(米州機構)への復帰とセラヤ前大統領との和解を要求した。コロンビアについては、岩塩層下油田の近海に、米第4艦隊が停泊することに異議を唱えた。
WTOの7年にわたる綿抗争で、ブラジルが勝訴を得た。米政府が綿生産者に支給した補助金は、WTOによって禁じられた。しかし、8億3千万ドルが、報復の形でいまも生きている。
シャノン米大使は、ブラジルの力が国際的に認められた現在も、両国間に摩擦が生じていることを遺憾と表明した。