ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 中央銀行=預金準備率引上げ決定=市場から710億R回収==恐慌非常時体制は解体へ=中銀は「金融の砦」再構築

中央銀行=預金準備率引上げ決定=市場から710億R回収==恐慌非常時体制は解体へ=中銀は「金融の砦」再構築

ニッケイ新聞 2010年2月26日付け

 中央銀行は24日、金融危機でクレジット市場へ注入した1千億レアルの緊急資金を一部回収するため、3月から銀行の預金準備率を再度引き上げることを決定と25日付けフォーリャ紙が報じた。そのため市中銀行から710億レアルの供託を行うので、インフレは抑えられ、ローンは引き締められ、市中金利は引き上げられる。しかし、中小銀行の債券を購入する大手銀行は、引き続き低率の預金準備率適用を許される。中銀によれば、これが国際的な傾向であるという。

 金融危機を克服するため市場に注いだ資金により生じた流動資産を、インフレを引き起こさないため一部回収する。政策金利は当分、引き上げる意向はないが、銀行の資金コストは高くなると中銀がいう。
 中銀が回収する710億レアルは、金融危機で市場へ注入した資金の70%。これで金融市場におけるローンでの流通量は、500億レアル。うち290億レアルは、中小銀行救済のための債権購入に充当。危機の影響緩和のためのローンでの流通は210億レアル。
 欧米諸国でも恐慌の折、投じた緊急資金の回収を検討している。ブラジルは、一歩先を行っている。中銀が外貨準備を切り崩して貸したドルも、回収を始める。
 金融市場の流通量を減らすので、引締めとともに市中金利は上がる。中銀の方針は、金融危機で築いた要塞の解体で、これは国際的な傾向だ。預金準備率引き上げは通貨政策の切り札、舵を取るのは政策金利だ。
 今回の中銀対策は、緩やかな金融引締めといえる。中銀の金庫で、市中銀行の資金を漬物にする。自動的に金利が上昇するので、クレジット・カードやLCD、自動車の金利は高くなる。
 中銀はこのようなことはしないと、いつもいっていたが当てにならないものだ。消費を抑え、経済を冷え込ませ、インフレ抑制という錦の御旗を掲げるのが中銀だと関係者を慨嘆させている。
 政策金利は、メイレーレス総裁に与えられた唯一の武器。同総裁は、ブラジル経済の生殺与奪の剣を持っている。マンテガ財務相は、政策金利を上げる前に、預金準備率を引き上げろと進言。
 だから政策金利は10年中頃、引き上げられると思われる。預金準備率調整は、経済に与える衝撃が小さい。また国債の配当金も少なくて済む。
 預金準備率調整には重大な使命がある。恐慌のような非常時に大手銀行に配って中小銀行の債権を購入させ、ブラジルの金融システムを救う資金を確保することだ。