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支部と本部の緊密化を=沖縄県人会総会=今年中に資料館を充実=与儀会長統合進めたい」

ニッケイ新聞 2010年2月26日付け

 ブラジル沖縄県人会とブラジル沖縄文化センター(与儀昭雄会長)の定期総会が21日午前10時からサンパウロ市の同県人会館で開かれ、市・州内、国内各地の支部から約110人が出席した。マリリア、カンポ・グランデ、ブラジリアなど遠方の支部長も参加。県人移民百周年の記念事業を完成に向けて進めていく方針が報告されたほか、支部からの提案により今年は支部と会本部の連絡を密にしていくこと、カジマヤー(沖縄で行われる97歳の祝い)以上の会員高齢者への表彰祝賀会を開催することなどを決定した。

 沖縄系の2団体は昨年、それぞれの定款内容をそろえることで実質的に統合。年間行事は共通化されたが、収支報告に関しては各団体が別々に行った。
 先亡者への黙祷に続いてあいさつした与儀会長は、昨年度行事への協力に感謝を表すとともに、2団体の統合について「まだ足りないところがある。長年別々にやってきて、時間がかかると思うが、今年はもっと具体的に進めたい」と述べた。また、来年母県で「第5回世界のウチナーンチュ大会」が開催されることを紹介し、「ブラジルからも多くの人に参加してほしい」と語った。
 県人会の昨年度収支は収入約44万9千レアル、支出約41万レアルで約3万8千レアルを繰り越し。文化センターは収入約19万レアル、支出約21万レアル。一方、県人会の育英資金で未返済額が8万7千レアルに上っていることが発表され、財政状況の厳しさが浮き彫りになった。
 今年度は民謡、古典音楽、舞踊、ゲートボール、ミス琉装、沖縄角力、柔道、子ども祭り、ウチナー芝居など計15の行事を計画。6月に恒例の慰霊法要を営むほか、5月には第3回女性の集会が開かれる。
 今年度予算は、県人会が34万7千レアル、文化センターが21万3千レアルを計上。昨年度事業・収支報告、今年度事業計画・予算案とも拍手で承認された。
 08年の沖縄県人ブラジル移民百周年にあたり、実行委員会では「写真で見る移民史」「県人移民百周年記念誌(ポ語)」、移民資料館建設を計画。
 このうち、ジアデマ市の文化センターで建設が進められてきた資料館は昨年9月に落成式を挙行した。今後は資料の収集、展示内容の検討に入る予定で、各部門のコーディネーターが選任されている。与儀会長は、「今年中には大体の部分を終わりたい」と語る。
 このほかに現在、県人移民百周年関連の記念行事を取り上げた写真集出版の準備を進めており、来月には各支部へ配る予定だという。
 昼食時には、沖縄の民謡歌手で来月までブラジルに滞在する堀内加奈子さん(32、北海道出身)が舞台に上がり、「あやかり節」「祝い節」など数曲を披露して会場を盛り上げた。

97歳以上の表彰祝賀会も=県人会、支部の活性化に

 この日もっとも多くの時間を費やしたのは、サントアンドレ支部からの二つの提案事項だった。
 提案の一つは、「各支部連絡会」の設置。支部長会議がほとんどなく、会の合同役員会にも支部からの出席が少ない現状を踏まえ、県人会本部の提案事項や会議等に関して各支部が話しあいながら参加できる環境を作り、組織強化と会活性化につなげたいとしている。発表した宮城あきら副支部長は「下から組織を作る」ことの重要性を強調した。
 各支部代表の意見は概ね同提案を支持するものだったが、多くは総会の席で表決せず、今後検討するよう求めた。最終的に与儀会長から、県人会の主催により今年中に二回、本部と支部の会議を開催して検討する案が出され、承認された。
 もう一つは、97歳以上の高齢者の表彰祝賀会を開催する提案。支部単位で行うところはあるが、県人会としては初めての行事であるため、賛否両論が飛び交った。
 該当する高齢者が多く、親戚などを含めたら膨大な人数となることが予想されるため、当初は「現実的でない」とする声が多かった。これに対して、「県人会としてやることでより重みが出る」「会の存在価値が上り、活性化につながる」「金をかける必要はない。大事なのは高齢者へ感謝を示す事」など実施を求める声が次々と出された。
 最終的には再び与儀会長から、「県人会の年間行事の一つを利用して表彰を行ってはどうか」とする案が出され、承認。時期は未定だが、開催については決定した。
 総会の最後には評議員会(宮城滋会長)から、沖縄産業開発青年隊協会長、県人会長、文化センター理事長などを歴任した山城勇さんを名誉会長に推薦する提案がなされ、承認された。