命のつけは誰が支払う?=医者のケンカで胎児死亡=分娩台上の妊婦の目前で
ニッケイ新聞 2010年2月27日付け
マット・グロッソ州のイヴィニェマで23日未明、出産中の妊婦の目前で産科医2人がケンカし始め、胎児が死亡するという事件が起きた。
25日付フォーリャ紙や26日付エスタード紙などによると、妊娠中も何の問題もなく、普通分娩での出産を待っていたジスライネ・デ・マトス・ロドリーゲスさんが市立病院に入院したのは21日。出産は22日の予定だったが、本人は、いつも受診していた担当医による分娩を希望し、医師もそれを承諾した。
実際に陣痛が始まり、分娩室に入ったのは、22日夜。当直ではなかった担当医は、約束通り分娩室に入ったが、23日未明にやってきた当直医は、当直は自分だと主張し、口論が始まった。
口論は次第に激しくなり、殴り合いまで始まった傍らで苦しんでいたのは、ジスライネさんとおなかの胎児。
看護婦がケガをしない様かばう中、陣痛の痛みが押し寄せてくるジスライネさんは、二人の医師に出産介助を頼んだが、医師の耳には届かない。
結局、二人の医師が警備員につまみ出され、分娩開始から1時間半後に別の医師の手で帝王切開が行われたが、胎児は助からなかった。
結果的に死産となった胎児は、体重3・6キロ、身長も47センチの健康体で、正常な分娩さえ行われていれば、12年間待ち望んだ待望の女児誕生を祝うはずだったジスライネさんと夫のジルベルト・デ・メロ・カブレイラさんは、悲しみと怒りを隠せない。
25日付G1サイトによれば、借金までして買い揃えた新生児用品は、悲しみを大きくするだけだとして、欲しい人に上げたりしたが、使ってない物の一部は、店が買い取ってくれるかを聞いてみるという。
当直医は、担当医が先に暴力を振るい始めたというが、分娩台の上に居る妊婦の肉体的、精神的苦しみを忘れ、命の灯火をも消してしまった産科医二人は免職となり、その責任を、行政、司法の両面から問われる予定。
イヴィニェマ市では、ジスライネさんの精神的ケアのため、専門家の派遣も決めたが、出産後に残る肉体的な痛み以上に、待望の我が子を失った心の傷が疼く日々だ。