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愛書家ミンドリン氏逝く=世界一の個人図書館の主=歴史や文化の守護役果たす

ニッケイ新聞 2010年3月2日付け

 〃歴史の守護者〃とも称される、愛書家で蔵書家のジョゼ・ミンドリン氏が2月28日に亡くなり、サンパウロ市ヴィア・マリアナの墓地に葬られたと1日付伯字紙が報じた。
 1914年、サンパウロ市のロシア系ユダヤ人歯科医の家に生まれ、音楽や絵画に親しみつつ成長した同氏は、15歳で始めた新聞記者の仕事を始め、弁護士、企業家、サンパウロ州文化局長、ブラジル文学学会員など、様々な顔を持つ。
 そんなミンドリン氏が希少本を最初に入手したのは13歳。95歳の生涯を「喜んで出来ない事はしない」をモットーに生き、周囲の人に読む楽しみを伝えてきた同氏は、常に喜びに満ちた生涯を歩んできた。
 亡くなる直前は肺炎で1カ月入院していたが、その間も、サンパウロ総合大学(USP)への寄贈図書を収める図書館工事の進捗状況を気にし、「喜ばずにやった唯一の事は、USPの新図書館完成を待たずに亡くなった事だろう」とさえいわれている。
 新聞記者として働き始めた直後の30年革命の時は、リオへの通信内容を英語にして伝え、新聞社が報道管制を受けるのを避けるのに貢献。
 また、サンパウロ州文化局長の70年代、TVクルツーラ理事にジャーナリストのヴァウジミール・エルゾグ氏を招き、軍の圧力下でも同氏解雇を拒むなど、権力にこびる事を嫌う人物でもあった。
 USPと米国コロンビア大学で法学を学び、自動車部品メーカー、メタル・レーヴェの共同創立者としても長年貢献した同氏だが、32歳の時に開き、1年で閉店を余儀なくされた、希少価値本を扱った本屋パルテノンの本は、企業家として創業後に個人蔵書として買戻し、収集家としての歩みを継続。「ウマ・ヴィダ・エントレ・リヴロス」などの著書もある。
 収集した蔵書は4万タイトルに及び、1500年代の著者による校正の筆が入った本や初版物など、貴重な文献も目白押し。ブラジル形成の歩みを伝える文学作品や文献など多義にわたる蔵書が、歴史や文化継承に果たす役割は計り知れない。
 ブラジルの歴史関連の1万7千タイトル4万点は、ブラジリアナUSP蔵書として寄贈され、2012年開設を待っている。