ニッケイ新聞 2010年3月2日付け
政府は2月28日、クリントン国務長官の来伯に先立ち、米政府の補助金制度に対抗するため報復対象とする130品目を限定と27日付けエスタード紙が報じた。これは世界貿易機関(WTO)が容認したもので、米製品5億6千万ドルに影響を及ぼす。
政府は輸入品リストから、国家安全保障戦略に抵触する航空機部品や化学薬品、医療機器、特殊食品、特殊機器、一部自動車部品などを報復対象から除外する。
リスト公表後、30日経過するとブラジル向け米製品に課徴金が課される。リスト公表は、8日の予定。国内企業の体制準備の意味合いもある。また再度、交渉をする可能性もある。
民間企業代表の話によれば、リスト公表に難色を示し、実施を遅らせようとしている。一度公表すると時限爆弾が仕掛けられたようなもので、30日後に破裂することになるからだ。
ブラジルはWTOで、綿に対する米政府の補助金付与停止提訴で勝利を得たが、米政府は別の形で補助金を続行している。それで米政府が付与している補助8億3千万ドル相当の報復措置を、ブラジルに認めた。
この報復措置は、国内で物議をかもした。綿生産者までも、方法が短慮であるとして報復措置に反対した。綿に端を発した報復の結果は、他業界も受けることになる。
先ず輸入部品は、割高になる。米国の自動車市場は小型化し、ブラジルにとって輸出のチャンス到来。部品を輸入する企業は、課徴金を払わされる。輸入外車にも影響が出てくる。
他に問題なのは、小麦粉。米国産小麦は亜国産と国産小麦が不作の時、安全弁の役目をしている。パン価格は統制されているため、コスト高の米産小麦は使えない。
伯米関係は、報復だけで割り切れない関係がある。農産物補助金を訴えて報復措置がWTOから認められながら、補助金廃止を12年へ先延べというご都合案まである。