ニッケイ新聞 2010年3月4日付け
【中国新聞】日系ブラジル人三世のフェリペ・アラカキさん(19)が1日、広島市南区にある市立工業高定時制建設技術科を卒業した。
15歳の年に来日。両親らと働いた会社を解雇されるなどの苦難にめげず、日本語を一から覚え学費も賄った。
「先生や級友らが温かく市工で学べてよかった」と、全日制を含む265人を代表して同窓会から記念品も受け取った。
亡き祖父が沖縄県出身のアラカキさんは、ブラジル南東部ミナスジェライス州から2005年末、日本就労の募集に応じた両親に従い、きょうだいとの6人で島根県に移住。クリーニング工場で働いたが1年後に両親とともに解雇され、広島県海田町の自動車部品工場に転じた。
「日本の優れた技術を学校で勉強したい」と、日本語の特訓を受けて市工定時制に入学。午後4時50分からの学校に間に合う勤務を認めてくれた安芸区内の製造会社に移り、通学。しかしその会社も不況から再び解雇に遭う。
昨年春からは海田町内の日系人派遣会社に勤め、今年からは県がつくる「ひろしま国際センター」のポルトガル語通訳もこなし、アルバイトが続く父親らと家計も支える。
取得した計算・情報技術の資格を生かした職種に就き、米国留学の夢も描く。