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米国務長官=WS紙がトップ報道=イラン制裁の鍵握るブラジル

ニッケイ新聞 2010年3月6日付け

 ウオール・ストリート紙は4日、クリントン米国務長官の訪伯後、全米国民の注目がイラン制裁に関する見解を異にするブラジルへ注がれていると、トップ見出しで掲載したことを5日付けエスタード紙が報じた。
 ブラジルは国連安保理の拒否権を持っていないが、ルーラ大統領がイラン制裁決議の鍵であることは、米国の政治家や外交官、国際問題の専門家が認めるところとして次のように論評した。
 ブラジルの国策として、核兵器を所有しないことで世界から信用されるのは、ブラジルの貫禄といえる。中国などがイラン制裁に同意しないのとは、わけが違う。
 マスコミは、米政府が軽い気持ちで、ブラジルに接し断られたと見ている。イランを挟んで伯米政府の相違をマスコミが質したところ、報道官は「立場に従ってブラジルが判断しただけで、対話と決議までの時間の中で、決議の時には考えが変わる可能性がある。なぜなら国連での根回しは、既に完了済みだ」と述べた。
 米カンシル紙は、ルーラ発言の「米外交は道義に反する」を強調し、前以ての根回しと策略を批判した。ブラジルの他にトルコやレバノンも、イラン制裁に反対を表明。理由は米政府推測の宗教的なものではなく、イラン制裁がもたらす国内への影響だとした。
 イランの核開発計画は、軍事目的であることが明白だと、米英仏イスラエルが糾弾。ルーラ大統領は5月、現場を見て真偽を確かめてくるという。ルーラのイラン訪問は、国際外交の舞台で主要人物になれるかのテストだと同紙が論評。
 ブラジルの成長は、米国民が一様に歓迎している。ブラジルが国際問題に参加するのはよいが、イランでは先手を打ったと米国民は見ている。イランは、ブラジルの支援で意気揚々としている。ブラジル外交は、イランに先輩視されている。
 イランはブラジルに刺激されて核兵器の技術導入を急ぐと、イラン関係の専門家は見ている。一方、ニューヨーク・タイムス紙は米政府が4日、国連安保理にイラン制裁根回しの事実を否定と発表したことを報じた。