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「互いに学べて良かった」=援協=南米日系高齢者福祉セミナー=充実した6日間過ごす=現場レベルの意見が百出

ニッケイ新聞 2010年3月10日付け

 初めての試みとして1日からサンパウロ市で行われていたサンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)主催「南米日系社会高齢者対策福祉事業セミナー」(JICA後援)が6日、閉幕した。アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルー、国内はリオ・グランデ・ド・スルやアマゾンから参加した日系福祉団体代表者約30人をはじめとする参加者は、各日系高齢者福祉事情や知識を現場レベルから学びあうなど、充実した6日間を過ごした。

 最終日午後に発表会及び修了式が行われた。午前中にグループ別に行った共通課題や可能性についての議論のまとめを発表したパラグアイ日本人連合会福祉事業部の菊池明雄さんは、テーマ「今後の福祉団体の人材育成」について、日本人会青年部や婦人部を高齢者福祉活動にまきこむ形などを提案。
 また、人材育成のためのJICA本邦研修について「数カ月家を離れるのは主婦などにとって難しく参加できない人もいる。短期コースを数回に分けて南米で行ってはどうか」などと提言した。
 続いて「福祉団体の運営」についてパラグアイ連合会の飯田稔さんが発表。今セミナーで視察した老人ホーム経営の厳しい現状を参考に、「なるべく家族で住む、建設するならショートステイなど小規模の施設にする」などのアイディアがでた。
 「高齢者のより良い生き方」としては社会福祉士の与座チエコさんが、「大学との合同調査を進め、政府プロジェクトを成立させる」などの案を出した。
 今セミナーのために来伯、全日程に参加した桃山学院大学の金本伊津子教授が、「各コミュニティーの高齢者の現状を把握でき、現場の問題を共有でき有意義だった」と総括。参加者の中から提言のあった共同基礎調査など、「『共働』の可能性が見えてよかった。いかに実現するかを真剣に考えていかなければいけない」とした。
 コメンテーターとして壇上にたった千坂平通JICAサンパウロ支所長は、「結果は発信し、継続していかないといけない」とし、同セミナー継続を希望する参加者の声に対して、「初回より2回目を開催するほうが難しい。みなさんは、目的意識をしっかり持ち、今後何をすべきかを考えてゆかなければいけない重要な立場」と激励した。
 森口会長から参加者に参加証が渡されて閉幕した。
 ボリビア・サンフアン診療所で保健福祉担当をする池田七奈重さんは、「自分たちにも出来そうな他団体の取り組みが学べたりして良かった。まだ私たちの福祉活動は始まったばかりなので勉強になった」と充実した6日間を振り返っていた。