成長、成熟早いブラジル児童=平均身長などは米国上回る=体重などで親の認識不足も
ニッケイ新聞 2010年3月12日付け
南大河州とサンタカタリーナ州の連邦大学の調査によると、7~17歳の子供の平均身長は米国の平均を上回り、成熟も早いと11日付フォーリャ紙が報じた。
全国の公立、私立校生徒4万1654人のデータを集計した結果で、ブラジルの子供の成長曲線は、14歳位までは、男女とも米国の成長曲線より高い数値を示している。
例えば9歳児の場合、ブラジル男子の平均身長が1・38メートルセンチなのに対し、米国男子は1・35メートル、女子も、米国の平均1・34メートルに対し、ブラジルは1・38メートルと、3~4センチも高い計算になる。
2、30年前は国際的な平均より低かったブラジル児童の平均身長が、米国児童の平均身長を上回った事について、サンタカタリーナ連邦大学ジエゴ・アウグスト・S・シウヴァ教授は、ブラジルが経済成長を続ける過程で、国民生活も向上してきた結果だと見ている。
国民生活向上の内容として同教授が指摘するのは、食生活の充実や母乳栄養の拡大、予防接種などの基礎医療の充実。
食の充実は、生活扶助などによる経済力向上でD、Eクラスが減少している事などからも明らかで、肉体的成熟を示す初潮などもブラジル児童の方が早く始まるという。
また、授乳期間の伸びなどに見られる母乳栄養拡大や予防接種充実は、保健省や非政府団体などの地道な啓蒙活動が実を結んだ結果と言える。
ただ、平均身長の伸びなどを手放しで喜べないのが、体重とのバランスなどに関する親の一般的な認識不足。オランダで2月発行の小児科専門誌の「母親の75%、父親の77%は子供の体重超過に気付いていない」との記述はブラジルも同様だ。
2月15日付フォーリャ紙は、気管支炎やアレルギーで受診するまで子供の体重超過に気付かず、太っている=健康だと思っていたという母親の証言も掲載。太り気味や肥満の子供の場合、親も体重超過者が多く、親の認識改善が子供の肥満問題解決の鍵だという非政府団体医師の言葉も傾聴に値する。子供が喜ぶからとファーストフードや菓子類に手を出す傾向や、生活習慣の乱れ、学習習熟度(学力)の伸び悩みも今後の課題だ。