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ルーラ大統領=パレスチナ結束に協力も=ANP団結が最優先=住宅建設は反応試し札=米イ間の緊張は軍鶏賭博

ニッケイ新聞 2010年3月18日付け

 ルーラ大統領は16日、ベツレヘムでパレスチナ暫定自治政府(PA)のアッバス議長と会見したことを17日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。ルーラ大統領は17日もラマッラーで引き続き、PAとハマスの融合に向けて仲介の労をとる用意があることを質す。ルーラ大統領に同行したブラジル経済使節団120人は、サラーム・ファイヤード首相と会談。イスラエルと同様に、パレスチナ・メルコスル自由貿易協定を一刻も早く締結するよう要望した。

 ルーラ・アッバス会談は16日、実施されたが結論に至るものはなかった。中東和平に向けてPA内の結束が最優先であり、ルーラ大統領が統一の指揮を採る用意があることを示唆。PAを結束させるのは、ルーラ大統領にも政治生活の山場と見ている。
 随行のアモリン外相は、イスラエル政府の東エルサレムにおける1600戸の住宅建設が、パレスチナ暫定政府の激怒には至らなかったと判断した。これなら中東和平交渉の再開が、可能だと同外相は見ている。
 1967年までアラブ支配下にあったエルサレム旧市街は16日、イスラエルとパレスチナ両国民の間で一触即発の事態にあった。米政府は12日、ミッチェル中東和平担当特使派遣を中止するなど険悪な空気が支配していた。
 アモリン外相は、今はネタニヤフ首相とクリントン米国務長官の論争であり、軍鶏賭博のようなものだから、下手に仲間入りするより高見の見物をしているほうが無難であると述べた。
 中東和平交渉の会場準備として、1600戸の住宅建設はイスラエルの指し札と思うが、アモリン外相は中東和平をぶち壊すようなことではないと見ている。世界をからかって見ただけ。
 米国務長官の過激発言だけで、住宅建設の脅しにのった者はいない。中東和平交渉は中断しただけで、座礁はしていない。イスラエルの脅しにのらず、交渉を進めるような力のある仲介者が必要だと外相はいう。
 ルーラ大統領は中東和平が、ブラジルにとってこんなに身近なものとは知らなかったと語った。イスラエルとパレスチナの間にある道路のジャマな石を、ブラジルが取り除いてもよい。それにはブラジルのような国々を集めて、イランやシリア問題も同時に解決しようと呼びかけた。