ニッケイ新聞 2010年3月23日付け
与党が下院でビンゴとスロットマシン、動物賭博の営業再開案を今4半期の優先議題としていることで19日、関係政府機関は監視体制が不備なまま承認すれば資金洗浄の温床に成りかねないと懸念していることを22日付けフォーリャ紙が報じた。上程案は掛け金の70%または80%を賞金として払い戻し、過疎地の活性化に供するなど、一定条件のもとで規律を守るなら、再開許可となっている。同案に反対するのは、DEM(民主党)やPSDB(民主社会党)、PSOL(自由社会党)などの野党だ。
ビンゴ業者の議会ロビー活動は、熾烈なものであった。ビンゴ協会は、25万人の雇用を創出し、年間70億レアルの税金を払うという。
ビンゴ反対派は、法整備の不備に乗じた法外な利益と犯罪組織の跋扈を指摘。同案可決の場合、法務省や財務省、金融審、国税庁が総出で監視に当たっても、現実はザル漏りだというのだ。
今年は大統領選挙があるため、政府は距離を保っている。政府官僚が同件に関心がないのは、ルーラ政権の汚職体質を批判されるからだ。官房室で04年、それにまつわる事件があった。
同案上程者と支持者は、米国ラス・ベガスでは堂々と営業し、それなりの成果を上げているという。ブラジル当局には、それだけの監視能力がないのかと反論。
上程案の候補に上がっているのは、ルーラ大統領の出身地ペルナンブッコ州ガラニュンス市。人気のない北東伯の不毛地帯の真中に、ブラジルのラス・ベガスを建設する案だ。そこには、カジノもつくる。ガラニュンスを、ブラジル賭博の都にする壮大な計画。
同案の支持者は少なくない。原案にはカジノがあったが、反対派の圧力を和らげるため外した。ビンゴ位ならともかく、カジノもとなると退く議員がいる。カジノは、衰退した地方都市を活性化するというのだ。
ドゥットラ元大統領の時代、カジノ禁止となったためさびれた観光都市は多い。カジノは金持ちから余裕資金を巻き上げ、税金として政府の懐に入れる。カジノが認められれば、これらの観光都市は生き返る。