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PAC第2弾=閣僚や知事ら集め概要発表=大統領選へのPT側宝刀=1・59兆R$の大規模投資=資金源や実現性は不確定

ニッケイ新聞 2010年3月31日付け

 ルーラ政権が次期政権に贈る経済活性化計画第2弾(PAC2)が29日、30人の閣僚と18州の知事、何百人もの市長を集めて発表された。30日付伯字紙によれば、6つの柱に分けた投資からなるPAC2は、総額1兆5900億レアルに上る大型計画で、大統領選出馬のために離職するジウマ官房長官(PT:労働者党)へのはなむけとの見方が一般的だ。

 ルーラ大統領から〃PACの母〃の称号を受けたジウマ官房長官にとって、第1次のPAC1に次ぐ第二子誕生の知らせは、出馬が確定している大統領選挙への最大の武器。18日以降、ルーラ大統領が公示前の選挙宣伝だと罰金を科せられた原因もPAC絡み。
 今回発表のプロジェクト913件には、2007年発表のPAC1に入っていたものが64%にあたる465件。PAC1の一部で2010年以降着工予定だったものも116件ある。
 計画全体は、全資金の約3分の2をつぎ込むエネルギー事業を中心に、都市改善計画、市民社会事業、マイホーム計画、交通事業、水道・電力普及計画の6分野に分けられ、2011年から14年に9589億レアル(フォーリャ紙では9800億レアル)、2015年以降6316億レアルを投入する計画だ。
 具体的には、14年までの岩塩層下の石油やガス関連の投資や発電などのエネルギー事業に4655億レアル、15年以降に6271億レアル。
 医療施設や保育所、幼稚園、警官の駐在所建設などの市民社会事業には14年までに230億レアル。全国民に電気を供給し、上水道設備を拡大する水道・電力普及計画には同306億レアル。下水道整備や公共交通網と道路整備などの都市改善事業には同571億レアル。低所得者向け住宅200万戸を建設するマイホーム計画には同2782億レアルを投入。
 また、国道の複線化や港湾整備、空港の能力拡充などの交通事業には、14年までに1045億レアル、それ以降45億レアルの計1090億レアルが投入される。
 一方、PAC1の事業で完成は11・3%。54%は計画倒れ、34・7%は今も工事中という実績だけに、PAC2にも資金源や実現性への懸念の声もある。
 例えば、14年までの投入資金中、政府出資は22・9%。残りの3千億レアルを公社、3270億レアルを金融機関が負うが、民間からの出資額がどれだけになるか、環境ライセンス取得や議会承認、州や市への委譲などは順調に行われるかなども問題だ。
 華々しく風呂敷を広げた後、インフレや国外債務、国外直接投資の動向などで実行資金が不足、PAC兄弟は共に早産で終ったとの筋書きを案ずる声まで出始めている。