ニッケイ新聞 2010年4月1日付け
4月中旬にブラジルを舞台に二つの重要な新興国グループ(BRICs=伯印露中、IBAS=印伯南ア)の首脳会議が開催されるにあたり、3月31日正午、サンパウロ市の大統領府事務所でブラジル外務省のロベルト・ジャグアリベ大使が外国メディア向け記者会見を行った。主要な新興国の首脳が、新国際通貨などの金融問題はもちろん、企業交流から相互支援まで多彩な会議やセミナーを行うことで、今後いっそう、G20における存在感を強めようとしている。
「お互いの持つ可能性を最大限に引き出すような役割分担を強め、国際社会における存在感を強めるのが目的」。同大使はそう協調し、「既存の世界体制に対抗するとか、波風を立てる革命的な何かを考えている訳ではない」と釘を刺す。
4月15日のIBAS首脳会議、16日のBRICSs首脳会議には中国の温家宝首相、ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ大統領、インドのマンモハン・シン首相、南アのジェイコブ・ズマ大統領の出席が確認されているという。
「IBASは我々が自主的に集まって始まったが、BRICsは金融界が勝手に名付けたもの。その分、BRICsは知名度が高く、それを活用する好機だ」とし、各国の中央銀行や開発銀行代表者が集まった会議が予定されており、その中で「正式議題にはないが、特定の国の通貨を国際的に使うのではなく、新しい国際通貨の創設も討議される可能性がある」という。「別にブラジルのアイデアではない。一般的には複数通貨を連動させる通貨バスケット制という考え方もあり、臨機応変な討議が行われるだろう」と含みを持たせた。
「中国の人民元の切り上げについては」との記者団の質問に、「議題に入っていないが大事な点ではあるので、流れの中で討議はされるかもしれない」という。
その他、国家安全、通商交易、農業、資源、インフラなど様々な部会が予定されており、「各国共通の課題を話し合う。実のあるものにすべく、大臣レベルの予備会合が重ねてきた」という。「特に中国は大変な意気込みで準備をし、提案を考えているようだ」。
議題の中には、気候変動に対する対策も入っており、最後に共同声明が出される予定。
今回、伯中2カ国でPAC(対中関係促進プログラム)が調印される予定であることを公表した。「これにより、伯中関係はあらゆる分野で緊密化するだろう。対伯投資も促進されると期待している」とした。
なお、第1回BRICs首脳会議は昨年6月にロシアで開催され、第1回IBAS会議は06年9月にブラジリアで開催された。後者は「南南協力」を重視するルーラ大統領の新しい外交軸として元々期待されているもので、今回を機に連動して影響力を強めていく方針のようだ。