ニッケイ新聞 2010年4月2日付け
大統領や州知事など選出のための統一選挙を10月3日に控え、投票日の6カ月前までの現職離任が義務付けられている候補者達が、相次いで離任した3月31日。中でも1日付伯字紙がこぞって報じたのは、大統領選を闘うジョゼ・セーラサンパウロ州知事と、ジルマ・ロウセフ官房長官の離任。正式な立候補の届出までにはまだ日があるが、セーラ氏が堅実な州政を敷いてきた事を強調する挨拶を行う一方、ジウマ氏が現政権の政策を継続する事を前面に出す挨拶をし、大統領選への火蓋が切られた。
3月30日付本紙既報の様に、3月実施のダッタフォーリャ調査で、大統領選の支持率36%でトップを走るセーラ氏と、27%で追うジウマ氏の言行が注目されるのは当然の事。大統領候補として期待するに足るか否かを見極めたい国民にとり、正式立候補まで、表舞台に立つ事が出来なくなる両氏の人となりを知る意味でも、大切な離任挨拶だ。
3月29日に経済活性化計画第2弾を発表し、ルーラ人気を追い風としたいジウマ氏の強調点は、これまでにも何度も繰り返してきた、現政権の政策を継続するのは自分であり、労働者党(PT)政権だという点だ。
離任に当たり、セーラ氏所属の民主社会党(PSDB)など「野党には(現政権で)成長した国民に提供出来るものはない」「現政権にとり、国民は関心の的そのもの」と述べたジウマ氏。
持ち時間の半分は涙にくれた同氏は、ルーラ大統領とその功績を誉めそやす一方、前PSDB政権がもたらした澱みの中にいた国民を生きた流れに引き戻したのは現PT政権で、その政策を継続すべく大統領官邸に戻るまで、「しばしの別れ」と結んだ。
一方、サンパウロ州議会への正式な辞表提出は2日となるセーラ氏は、同州政府では政界がらみのスキャンダルや、国民を裏切るような悪政、財産搾取は起きなかったと発言し、堅実性をアピール。
金融危機にもいち早く対応し、サンパウロ州内で100万人の正規、非正規雇用を創出した事、職業訓練校も含む学校増設、下水施設拡充など、社会事業やインフラにも力を入れてきた事などを強調した同氏は、PTが使う、PACを亡きものにしようとする政党との批判を、計画立案は当然あるべきもので、それを実行に移さなければ政府として機能した事にならないとかわした。
立候補の届出まではなりを潜め、選挙準備を進める両氏。ジウマ氏後任には、閣僚を含む公務員カード乱用告発時、前PSDB政権時代の金の流れを暴き出す書類捏造責任者として首を切られた筈の懐刀エレニセ・ゲーラ氏、セーラ氏後任にはアウベルト・ゴールドマン副知事が就任した。