ニッケイ新聞 2010年4月14日付け
鳩山由紀夫内閣総理大臣とルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ伯大統領が12日午後、「核安全保障サミット」出席のため訪問中のワシントンで会談した。鳩山首相の就任以来、日伯首脳が会談するのは昨年9月の国連総会の時以来。ブラジルの高速鉄道計画について大統領から日本の参加が要請されたほか、国連安保理改革で協力していく方向性なども確認された。
会談は12日午後3時10分(現地時間)から約40分間行われた。
外務省の広報によれば、鳩山首相はデジタルテレビの日伯方式採用・南米への普及を日伯協力の成功例と位置づけ、謝意を表明した。ルーラ大統領は首相に早期のブラジル訪問を呼びかけ、これに対して首相からも大統領の訪日へ期待が表明された。
リオ・サンパウロ市・カンピーナス間の高速鉄道計画についてルーラ大統領から、「優れた技術を持つ日本にはぜひ参加してほしい」との要請があった。これに対して鳩山首相は、日本の優れた技術と安全性・正確さなど経験を活かして協力したいと述べ、あわせて日本企業の参加が可能となるよう支援を求めた。
大統領は、石油開発などへの日本の協力にも期待を表明。また、経済危機により苦境に直面する在日ブラジル人の問題について、支援の継続を要請した。
会談では、国連安全保障理事会改革についても取り上げられ、大統領は、これまでも安保理常任理事国を目指すG4(日本・ドイツ・インド・ブラジル)の枠組みで協力してきたが、これからも一致して働きかけるとともに、日伯両国が常任理事国入りできるようにしたいと述べた。鳩山首相も安保理改革に協力する意向を示した。
エスタード、グローボなどブラジルメディアの報道によれば、会談ではこのほか、デジタルテレビ向け半導体工場への日本の投資についても意見を交換。イランの核開発問題についても意見が交わされた。