ニッケイ新聞 2010年4月20日付け
【中国新聞】仕事を失った日系人らを対象とした政府の帰国支援事業の申請者が締め切り(3月末)までに2万2403人に達したことが分かった。
ブラジル出身者が92%の2万693人を占める。中国地方では、広島の306人を最多に391人を数えた。就労制限のない在留資格が認められながら、「派遣切り」などに遭い帰国を余儀なくされた日系就労者の厳しい雇用環境が浮き彫りとなった。
厚生労働省外国人雇用対策課や中国地方の各労働局が、中国新聞の取材に明らかにした。6日現在で集計したブラジル国籍以外の申請者は、全国でペルーが947人、パラグアイなど他の南米諸国が763人。
同事業は、南米からの日系人の解雇が一昨年秋の世界同時不況を機に各地で相次いだのを受け、昨年4月から実施。帰国する本人に30万円、扶養家族1人に付き20万円を支給する代わり、再入国は原則3年間を制限する。
中国地方のうち、南米出身の定住者らが5020人(2008年末現在)と最も多い広島県では、自動車関連企業の多い広島市安芸区や海田町などを管轄するハローワーク広島東を通じた申請が120人。県内申請の39%を占めた。岡山県内からは63人、山口県15人、島根県7人が申請し、鳥取県はゼロだった。
日本での再就職を断念した帰国者とその家族は全部で約7万人と推計。日本に一昨年末時点でいたブラジル国籍者約31万2千人でみると、約22%が帰国した計算となる。