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ブラジルが北朝鮮進出=食品分野で貿易拡大=映画による文化交流も

ニッケイ新聞 2010年4月24日付け

 ブラジルが世界で最も閉ざされた国、北朝鮮との交流を推進―。23日付フォーリャ紙は、ブラジルはBRICs諸国と共に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との貿易の拡大を図る一方で、文化面での交流も進めている、と報道した。
 フォーリャ紙は、世界でも特にメディアへの規制が厳しいと懸念される同国へ潜入、1週間の独占取材を行った。電気が通らず夜は真っ暗、自動車はほとんど走っておらず、インターネットや携帯電話もない同国の状態を目の当たりにし、「昔にタイムスリップしたよう」とその様子を記している。
 北朝鮮はブラジルにとって中国、ロシア、インドに続く第4位の貿易相手国で、08年のブラジルから北朝鮮への輸出は前年比106%の伸びを記録。同年のブラジルの輸出総額1520億米ドル中、北朝鮮への輸出は3億8110万米ドルを占めている。
 北朝鮮では、農業にも大型機械や化学薬品はほとんど使用されておらず、主な栽培物は米、大豆、野菜類のみ。現在、食糧は政府による配給制だが、今だ食糧不足が顕著で、90年代に約200万人が餓死したといわれる状況は改善されていない。消費財に関しても、一般国民には行き届いていない状態だ。
 昨年、初めての在北朝鮮ブラジル大使に就任したアルナルド・カリーリョ氏は、こういった状況の中で「伯企業が、肉類、冷凍食品、衛生用品の供給に強い関心を示している」と説明し、「同国の公的機関と協力体勢を結べる可能性もある」と、示唆している。
 実際、食肉最大手であるJBSフリボイや鶏肉最大手のブラジル・フーズ(BRF)は、取引上の契約を結ぶことを目的に、首都ピョンヤンへの訪問を予定。ブラジル農牧調査研究公社は、来月にも初の公式視察を行うという。
 また、カリーリョ大使は、二カ国の文化面での交流にも力を注ぎ、今年9月に開催される「ピョンヤン祭り」でブラジル映画の上映を図る。
 映画好きとして知られ、首都に映画スタジオも建設したという金正日(キム・ジョンイル)総書記の趣向を考慮、上映作品には「Dois Filhos de Francisco」と「O Ano em que Meus Pais Sairam de Ferias」の2作品を検討しているそうだ。