ニッケイ新聞 2010年4月27日付け
【静岡新聞】外国人生徒を多く抱える静岡県湖西市新居町の新居高で、生徒の国語力や表現力アップに向けた「日本語学習テキスト」が作成された。県内他校に先駆けた取り組みで、テキストは文法や単語の意味、指導方法などを細かく解説。背景には、国語力不足が原因で授業に付いて行けなくなる問題の解消や教職員の負担軽減があり、同校は「国語力は授業だけでなく、社会生活全般でも基本になる。テキストによって指導方法を確立し、外国人生徒の国語力を引き上げたい」としている。
同校では、急増するブラジル人やペルー人などの生徒に対応し、2001年度から「外国人生徒選抜」を実施。来日3年未満の生徒の受験に配慮するほか、一般生徒が国語や英語の授業を受ける間、別教室で語学研修させる「取り出し授業」も展開してきた。
しかし、取り出し授業は確立された方法論がなく、教職員の手探りで進められてきた上、一般生徒の中にも外国人生徒が多数在校していることなどから、対応に苦慮。日本語での授業が理解できないため、生徒の学習意欲が薄れる問題も指摘されていた。
こうした事情から、同校は日本語教育の指標となる独自のテキスト作成に着手。08年末には緊急雇用創出事業の一環として元小学校教諭1人と日本語指導員2人を臨時採用し、約1年がかりで完成にこぎ着けた。
テキストはA4判132ページで、小1~中1の国語教科書をもとに編成。文中に登場する単語の意味や例文を加えたり、文法を細かく説明するなどして分かりやすさを追求した。教職員向けには「初めに先生が朗読してください」などと指導上の注意点を記載し、テキストの内容を丸ごと保存したCD―ROMも付けた。今後は1年生の外国人生徒の教材として活用する計画で、他校から希望があった場合は無償で配布する。
作成に当たった池谷雅子さん(51)は「テキストの最終的な狙いは、外国人生徒が日本語できちんと感情表現できるようになること。国語力を身に付ける手助けになれば」と話している。