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麻薬密売組織が侵入?=ブラジルに物資供給基地建設=パラグアイ人民軍が関与

ニッケイ新聞 2010年4月30日付け

 パラグアイの麻薬取締局の発表によると、同国北部を中心に活動するマルクス主義ゲリラ、パラグアイ人民軍(EPP)が、ブラジル国内にも物資供給用の基地設営計画を立てていると29日付アゴーラ紙が報じた。
 ブラジルとの国境に近いパラグアイ北部のファゼンダに主な活動拠点を置く武装組織であるEPPは、麻薬密売組織と手を組むと共に、ブラジルのマット・グロッソ・ド・スル州とボリビアにも軍需品、食糧品など供給する基地設営を計画していたという。
 パラグアイ国家麻薬取締局のミゲル・シャパーロ氏によれば、EPPの戦闘部隊には、Farc(コロンビア革命前線)による特殊訓練を受けたメンバー約20人がおり、物資の輸送・配給に携わるメンバーも約30人いる。
 ブラジル国内に設営する基地からは、国境付近のパラグアイのコンセプシオン、サンペドロ、カアグアズーなど一帯の統括を目指す。
 パラグアイでは26日、マット・グロッソ・ド・スル州との境界にあるペドロ・フアン・カバレロで麻薬密売撲滅運動推進者のロベルト・アセヴェード上院議員が銃撃される事件が発生し、国民の麻薬密売組織への不安は広がっている。
 犯罪者らは上議が乗っている車に向けて30発を連射。上議は一命を取り留めたが、運転手と後部座席にいたガードマンが死亡した。
 同事件ではサンパウロの犯罪組織である首都第一コマンド(PCC)に属するブラジル人が既に4人、容疑者として逮捕されており、パラグアイの検察ではPCCの陰謀という疑惑も浮上。同事件はブラジル連邦警察も協力して捜査中だが、EPPの国内基地設営計画判明により、2カ国間の協力強化の必要がさらに高まった。
 EPPは昨年10月にコンセプシオン州で起きた農畜技術者フィデル・ザバラ氏の3カ月に亘る誘拐事件にも関与。同事件では、ルゴ大統領の請願を受けたルーラ大統領が、連警や国家電気通信庁(Anatel)職員を派遣して協力した。