ニッケイ新聞 2010年5月5日付け
殺人事件がサンパウロ州内で増えつつあり、9年間減少傾向を辿っていたサンパウロ市も今年は増加に―。1日付フォーリャ紙で、サンパウロ州内の人口10万人以上の都市71市を対象とした第1四半期の殺人事件集計結果が発表され、人口10万人あたり2・9人が犠牲となったと報道された。サンパウロ州立データ分析システム財団(SEADE)の人口データをもとに、州保安局が調査を行った。
ここ9年間殺人事件は徐々に減っていたサンパウロ市でも、今年第1四半期(1~3月期)は殺人事件が増加に転じたことが明らかとなった。3カ月間の死者は前年同期の305人から376人と23%増え、1日平均4人が死亡したことになる。
人口10万人あたりの犠牲者数は、2・77人から3・4人へと上昇し、州内平均の2・9人を大きく上回る結果となった。71都市中、17位となる。
サンパウロ市での9年間の殺人事件減少には、犯罪者逮捕率の向上が寄与したとされ、人口1万人あたり約50人が犯罪により投獄されているという高い数値も出ていた。
しかし、今回の増加判明ですでに、専門家からは「犯罪者が罪に対する刑罰を軽視する傾向が広がってきた。さらに厳しい政策が必要」との声が挙がっているようだ。
また、サンパウロ州で一番殺人事件発生率が高かったのはクバトンで、10万人あたりの死者はサンパウロ市の2倍の7・14人。第1四半期に同市で起きた殺人事件は、前年度同期の7件を上回る9件だった。
それに続くのは、リベイロン・ピーレス6・46人、タウバテ5・71人、ジアデマ5・48人、ジャカレイ5・05人、イタペビ4・92人で、ジャカレイの殺人事件発生は昨年の3件に対し、3倍の11件へと跳ね上がっている。
バイシャーダ・サンチスタ海岸地域でも、第1四半期の殺人事件は85件で前年比27%と、2006年以降初めての増加となった。昨月末に一連の類似殺人事件で騒がれたサントスとプライア・グランデほか、ペルイーベでそれぞれ前年比2倍を記録したことが、同地域全体の増加に起因したとされる。
昨年同期に2~7件の殺人事件が起きたジャンジラ、サンカエタノ・ド・スル、ボツカツ、ヴァリーニョス、アララクアラの5市は、今年は発生ゼロと報告された。
同期間中のサンパウロ州全体の殺人事件犠牲者は1224人で、前年比7%の増加。州内での銀行強盗は16%、誘拐を伴った脅迫事件は25%増えた一方、強盗殺人事件は22%減少したという報告もでている。