ニッケイ新聞 2010年5月7日付け
1959年4月にサントス港へ到着した「あめりか丸」の同船者会が4月25日、サントス市内で開かれた。33回目の今年は、初めて到着の地サントスで開催され、約30人が親睦を深めた。
今年で渡伯51年。毎年恒例の集いには、サンパウロをはじめジャカレイ、カンピーナスなど近郊各地、ミナス州アルフェーナスから訪れた人もいた。約20人を乗せたバスは25日朝リベルダーデ広場を出発し、サントスへ向かう。
毎年世話人を務める坂東博之さんは、「長い年月がブラジルで過ぎたが、今幸せにこうして年に一度、会える事を楽しみにしている」と話し、「3、4日前から楽しみで寝られなかった」と笑いを誘いながら参加者にあいさつ。車内では青木徳人さんの「爪もみ治療法」も紹介され、笑い声があふれ、終始和やかに団欒が続いた。
一行は午前中、サントス市立水族館、日本移民ブラジル上陸記念碑、建築家オスカー・ニーマイヤーの手掛けた展望台など同地の観光名所を見学。その後、60年以上続く海鮮料理レストラン「Sr.PACO」で昼食親睦会が開かれた。
坂東さんのあいさつに続き、今回サントスの案内役を務めた大水久雄さん(61)の「皆さんの幸せを祝って、ビバ!」の発声で乾杯、食事を楽しみながら歓談した。
12歳で渡伯、何度も同会に出席しているという高野キミ子さんは、「年上の人たちが家族と呼んでくれる。毎年友だちが増えるこの会が好き」と言い、夫の昭雄さんと共に同会に参加し、初対面の同船者と話を弾ませていた。
バイーア州JK植民地を経て現在はモジに住む田中さつきさん(61)は、2年前新聞で同会の存在を知ったのをきっかけに同集いへ参加しているという。
アクレ州キナリー植民地の入植者も乗船していた同船。キナリー出身者の集いでも呼びかけ人を務める大水さんは、「これからも同船者会をずっと続けていくためにも、坂東さんの手助けをしていきたい」と同集いへの思いを語り、キナリー出身者の仲間達と思い出話に花を咲かせていた。
「同船者は兄弟姉妹」と話す坂東さん。「皆さんありがとう、また来年。いつまでも仲良くしていきましょう」と参加者に呼びかけ、帰りのバスの中ではもう来年の同船者会が話題に上っていた。