ニッケイ新聞 2010年5月11日付け
民主社会党(PSDB)のジェラウド・アルキミン氏が8日、PSDBや共闘体制をとる諸党の人々5千人を前にサンパウロ州知事選への出馬を公式に表明したと9日付伯字紙が報じた。今回の統一選挙でのPSDBは一枚板である事を示す「サンパウロ州のためにひとつに」との標語のもと、知事選への具体的なスタートを切った事になる。
06年の大統領選ではセーラ氏との出馬権争いで勝ったが選挙で破れ、08年のサンパウロ市市長選でも現職のカサビ氏に敗れるという苦い経験を持つアルキミン氏。これらの敗退は、PSDBにとっても、党内の調和の乱れや重苦しさを印象づける出来事となっていた。
この流れが変わったのは09年、当時サンパウロ州知事だったセーラ氏がアルキミン氏を州開発局長官にと招き、同氏がそれを受け入れた時からだ。
党内がひとつにまとまらない限り選挙での勝利はありえない事を、06年の大統領選で痛感していたセーラ氏が、自身の大統領選出馬を念頭に声をかけたことは間違いないが、2度の敗北で多くの事を学んだアルキミン氏にとっても、党内での地位を再確立し、やがて中央政界に進出するためにも、欠く事の出来ない大切な決断だった。
謙遜さも含め、より備えられた状態だと自他共に認められる様になった事は、事前調査でも安定した支持率を保ち、知事選候補として指名を受けた事に表れており、今回の出馬表明にも多くの人が駆けつけた。
公式の出馬表明の場では、統一選全体を睨んだフェルナンド・H・カルドーゾ(FHC)元大統領やセーラ氏、民主運動党(PMDB)クエルシア元サンパウロ州知事らが、労働者党(PT)大統領候補であるジウマ氏の経験不足を指摘。高い倫理観に基づく選挙戦展開をと訴えたセーラ氏の「機密文書(ドシエ)を作る様な姑息な手段は採らない」との発言は、PTのサンパウロ州知事候補メルカダンテ氏をも標的にしたものだ。
08年のサンパウロ市市長選では対立候補だった民主党(DEM)のカサビ市長も出席して、PSDBとDEMの共闘をアピールした大会では、アルキミン氏の副はギリャルメ・アフィフ・ドミンゴスである事も公表された。
事前調査で支持率トップ、今回の公式表明で選挙地訪問などもやり易くなったアルキミン氏に対し、先に公式表明したメルカダンテ氏らがどんな公約を打ち出して選挙戦を戦うかも注目される。