ニッケイ新聞 2010年5月13日付け
【既報関連】7日付本紙既報の、灰色議員の選挙出馬差止めなどを扱う法案「フィッシャ・リンパ」の継続審議が11日に行われ、全ての修正案を否決する形で下院を通過したと12日付伯字紙が報じた。上院審議に回される事になった本案件が10月の統一選に適用されれば、既に出馬を表明している大物政治家の中からも、出馬差止めとなる人物が続出する事になる。
農業畑に関係する議員から根強い反対があった環境犯罪も対象とするなど、現行選挙法より数段厳しい内容の「フィッシャ・リンパ」承認。その背景には、各党の下院リーダー間で「同案件はこの10月の選挙には影響しない」という了解取り付けがあったとは、エスタード紙の報道だ。
もう既に出馬表明している現職政治家や、選挙出馬のため辞任した政治家、罷免後だが出馬を考えていた政治家にとり、同法案の適用時期が大きな問題である事は確かだが、それ以上に、市民からの声の高まりが政界浄化への道をつけようとしている事は大きな変化。
コーロル大統領が弾劾裁判にかけられた時、ブラジル政治史上初の快挙と騒がれたのと同様、市民の声が政界を突き動かし、政界汚職一掃などに向けて動き出した事は、特筆されるべきだろう。
11、12両日付エスタード紙によると、同紙が10日に行った労働者党(PT)と民主社会党(PSDB)の党首討論では、両党首が「フィッシャ・リンパ」の対象となる様な政治家の出馬はないと発言した。
公金横領や贈収賄、環境破壊、保健衛生部門に絡む犯罪などで、2年以上の刑に該当する犯罪に関与して断罪された人物は抗告中でも出馬不可、罷免や被選挙権喪失を逃れるため辞職した人物も出馬できない、被選挙権剥奪は8年間などを定めた同法案適用の対象は、上下院や州議会レベルでPT82人、PSDB98人という。
10月の選挙から同法適用となれば、職権乱用で罷免されたPSDBの上議選候補カシオ・クーニャ・リーマ・パライバ州元知事やマラニョン州知事復帰を目指す民主労働党のジャクソン・ラゴ氏、PTメンサロン事件で罷免を免れるため辞職した上議選候補のパウロ・ロッシャ氏などの大物も対象となる。サンパウロ市長時代の汚職で有罪判決が下ったパウロ・マルフ氏が同法案反対派代表格との記述も頷ける話だ。