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ルーラ大統領=欧州、中東の歴訪を開始=イランの核問題が焦点=露、仏大統領が支援約束=制裁発動避け得るか?

ニッケイ新聞 2010年5月14日付け

 国際的に懸念されているイランのウラン濃縮問題などを扱うため、ルーラ大統領が13日から、ロシアやイランなどを歴訪中と12、13日付伯字紙などが報じた。国際原子力機関(IAEA)の提案を受け入れると発言したと思った途端、自国でのウラン濃縮発言を行うなど、度々態度を変えるイランから、平和利用のみとの確約を取り付ける事が出来るか否かなど、今回の訪問の成果に国際的な注目も集まっている。

 欧州と中東歴訪のため12日午後ブラジルを発ち、13日にロシアのモスクワ入りしたルーラ大統領は、14日午前中に、メドヴェージェフ大統領ならびにプーチン首相を公式訪問する。
 国連安保理事会常任理事国のロシアを最初に訪問するのは、安保理での制裁決議で拒否権を持つ同国が、イランとの対話の道を探るとの立場をとって欲しいからだ。
 BRICs首脳会議でも議題に上ったイランのウラン濃縮問題は、同国が濃縮ウランを核兵器開発に使用する事を懸念する国際社会の関心事。
 国際社会では米国を中心に制裁への動きが強まる一方だが、ルーラ大統領の歴訪開始直前の12日、ブラジル同様対話による平和的解決の道を探っているトルコ訪問中のメドヴェージェフ大統領から「対話による解決への努力を支援する」とのメッセージも届いた。
 また、12日にはフランスのサルコジ大統領からも電話が入り、「イランが国際社会からの要請に応えてくれるようにとのブラジルの働きかけを、国を挙げて支援する」との約束を受取った。
 メドヴェージェフ大統領やプーチン首相との会談後、カタールを経て、15日夜イランのテヘランに到着予定のルーラ大統領は、16日にアハマディネジャド大統領や同国の最高指導者ハメネイ師を公式訪問する。
 ハメイニ師との会見実現はルーラ大統領が友好的な目で見られている証拠で、アハマディネジャド、ハメネイ両氏との会見が同国のウラン濃縮問題解決に寄与するとの期待が高い一方、反対派との会見抜きの日程への不満も出ている。
 ブラジル外交筋によれば、ルーラ大統領は「制裁には一文の価値もない」などと挑発的発言を繰り返すアハマディネジャド大統領を説得し、IAEA提案受入れを勧める意向だ。ウラン濃縮は医学研究や燃料開発のためで、核兵器開発の意図はないとの確約と、国外での濃縮への合意を得る事が出来るか否かで、国連安保理での制裁決議の行方も変わってくる。