ニッケイ新聞 2010年5月18日付け
PV(ブラジル緑の党)のマリーナ・シルヴァ上院議員は16日、リオのノヴァ・イグアスーで約3千人の出席者を前に、同政党として正式な大統領選挙出馬表明を発表した。挨拶の中で、同氏の政権シャッパに21億米ドルの総資産を持つ企業家・ギリェルメ・レアル氏(60)を副大統領候補に迎え入れることを公表した。16、17日付伯字紙で大々的に報じられた。
アクレ州出身で文盲だったマリーナ氏は、16歳の時に働きながら夜学で学び、アクレ連邦大学に入学して歴史学を専攻した。1985年に与党PT(労働者党)に入籍以降、市会議員、州議員を経て、1994年にブラジルで最年少として上院議員の座についた。
持続可能な発展を掲げてアマゾン環境保護に力を注いできたマリーナ氏は、環境保護運動に対する勲章であるソフィー賞やゴールド環境賞受賞など、国際的な知名度も高く、国内では中流層の幅広い支持を得てきた。
2003年にルーラ政権下で環境相を任されたが、環境政策でPTと相容れないことから、2008年5月に環境相を辞任した。昨年8月に欧州緑の党連合の声で動かされたPVから誘われ、大統領選挙出馬の意向と共に、党創立以来30年間在籍していたPTより離党、PVに入籍した。
式典の中で、「私は、セーラ候補やジウマ候補を相手に戦っているのではない。ブラジルの未来を相手に戦っている」と発言。ルーラ政権のボルサ・ファミーリアやカルドーゾ政権のレアル・プランなどの政策を賞賛し、環境問題のほかに就学問題、識字率向上に向けて力を注ぐ意向をみせている。
マリーナ氏は、インタビューに対して「我々が行っている活動がどれだけ大切なことなのか、数十年後に必ず明らかになってくる」と、方針に自信を示した。
今回、初めて政界へデビューを果すレアル氏は、化粧品会社NATURAの共同経営者で21億米ドルの総資産を持つ。米誌フォーブスの世界億万長者番付では、今年463位に各付けされた。環境保護団体を立ち上げた実績もあり、PVの活動に共鳴した。
今回のPVへの参加を機に、NATURAでの職務は休職する。選挙運動における、資金面での援助にも大きな期待が寄せられているようだ。