ニッケイ新聞 2010年5月20日付け
減税処置終了間際の駆け込み需要も含め、加熱した国内消費に応えるための工業生産向上などを受け、4月の国税収入は同月としては新記録となる709億600万レアルを計上と19日付伯字紙が報じた。18日付伯字紙は、4月の正規雇用拡大も同月としては新記録と報じており、国際金融危機を乗り越えた事が確認された様だが、その一方、この水準で経済活動が拡大すれば、インフレ高進は不可避と警告する声なども出ている。
個人向け所得税確定申告時期と重なり、例年税収が増える4月ではあるが、連邦歳入局報告の709億600万レアルの国税収入は、インフレ調整後も前年同月比16・75%という大幅増大を見た。1~4月の第1三半期の国税収入は2568億8900万レアルで、こちらも前年同期比12・52%増だ。
国税収入増加の原因には、先の所得税収入他、3月の工業生産や販売の拡大、所得の向上などの影響が考えられる。
前年比の数字は国際金融危機のあおりを受けて経済活動が停滞していた時期の実績との比較であるため、これほど大幅な増加は10月頃までとの予想も出ているが、経済活動が金融危機以前の状態に戻っている事は、税収額や正規雇用拡大などからも確認出来る様だ。
正規雇用の拡大については、4月が30万5068人、第1三半期では96万2327人と報告されており、労働相は、今年の雇用拡大予想を従来の200万人から250万人に引上げた。
雇用拡大が目立つのは金属、機械、通信、運輸の4部門で、09年4月は1万9千人減となった4部門の今年4月の雇用は2万2452人増。その他の工業関連部門も軒並み拡大傾向にある。
三半期での雇用拡大では、全国の40%にあたる37万6854人がサンパウロ州での雇用増。以下、ミナス13万2829人、南大河8万7278人、パラナ7万1411人、サンタカタリーナ5万4759人と続いている。
工業生産などを中心とした経済活動が金融危機以前の水準に戻った事や、雇用の拡大は喜ぶべき事だが、専門家の懸念は、前年比9・85%の国内総生産(GDP)増を見た1~4月の様な高い経済成長を支えるには基幹構造部分を中心とした投資が不足している事や、インフレ再燃の可能性が高まっている事。
先日政府が発表した国家支出の100億レアル削減はインフレ抑制には不充分、現行投資では6~7%の成長も支えきれないとの声の他、債務に伴う利息支払まで含めた政府支出をコントロールしなければ、負債や利息額は膨らむばかりとの指摘も出ている。