ニッケイ新聞 2010年5月26日付け
2009年度の法定アマゾンの森林伐採は前年比42%減の7464平方キロで1988年の衛星観測開始以来最低だが、今年度の伐採は既に増加傾向と25日付エスタード紙が報じた。
4月~11月の乾季は伐採が増える上、今年は選挙年。得票狙いで監視を緩める事を懸念する専門家が多い。
4月12日からの国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)職員ストも懸念拡大の一因で、伐採の多いパラーやマット・グロッソなどの監視は、連邦警察や軍任せの状態となっている。
さらに、国際金融危機からの脱却に伴い、国際的なコモディティ価格高騰も懸念を後押し。25日付フォーリャ紙に、2004年~06年の年間伐採量が2万7千平方キロから1万4千平方キロに減少した理由の44%は経済活動停滞とあるのもこの懸念を裏付ける。
同紙によれば、伐採減少の残りの理由は、新しい保護区制定37%、不法伐採の取締りと巡回監視強化18%となっており、政府の役割の大きい事も確認された。
開発途上国にとっては重要な資金源である森林伐採減少のため、先進国から経済援助をとの声は世界的だが、森林保存、植林実施の土地所有者には、政府からの賠償金支払の約束も伐採拡大に二の足を踏ませている。ミナス連邦大学調査では、一つの地域で伐採を停止した業者は、他の地域に移動してまで伐採を続ける事はないともいう。
また、新しい保護区制定による温暖化ガス発生は2050年までに80億トン削減の見込み。温暖化阻止のためにも、09年8月~10年7月の今年度伐採は昨年度以下との目標達成に期待したいものだ。