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法定アマゾン=森林伐採は減少したが…=温暖化ガス排出量変わらず

ニッケイ新聞 2010年6月5日付け

 ここ数年の法定アマゾンの森林伐採は減少したが、牧畜などに使うために伐採後の土地に火をかける事で温暖化ガスの排出量は相殺されていると4日付伯字紙が報じた。
 1998年~2007年の法定アマゾンの森林伐採減少がもたらした温暖化ガス排出削減効果は2億トンと算定されているが、伐採後の土地に火をかける行為は同期間中に59%増え、1~2億トンのガスを排出した可能性があるという。
 世界各国で地球温暖化防止への取組みが進められる中、森林伐採量削減は、経費をかけずに温暖化ガス排出を抑える事が出来る方法で、土地の乾燥(砂漠化)なども防ぐ事が可能とされている。
 しかし、2004/05年の伐採面積2万7772平方キロに対し、2009/10年の伐採面積7464平方キロなど、伐採削減への効果が見られる法定アマゾンに関しては、その努力を無にする形の焼畑などが増え、温暖化ガス排出と共に、伐採後に生えてくるはずの木の生育も阻害されるなどの弊害が出ている事になる。
 ノルウェーからは2015年までに10億ドルなど、国外からの資金拠出も約束されたアマゾン基金でも、伐採削減にのみ注目していた事を指摘した研究は、国立宇宙調査研究院(Inpe)や英国のエクセター大学などの研究員が協力して行ったもの。
 アマゾンでの自然火災は少なく、人の手による火災が大半だという研究者達は、焼畑などによる植物系生態損失によるガス排出増加防止は、森林伐採減少に伴うガス排出削減と並行して行われるべきで、農業形態の改革と整地の機械化などの工夫が不可欠だという。