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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年6月5日付け

 世論調査の結果が、これほどに力強いとは―。鳩山首相の率いる内閣の支持率は19%と少し。小沢幹事長の辞任を求める声は80%を超えていたし、昨年の選挙で圧勝の民主党も行き場を失ってしまいウロウロと醜態を晒すありさまだったが、やむをえないと鳩山首相が退陣を表明し、小沢幹事長を道連れにして、遅まきながら最高指揮官の席から降りたのは評価したい▼ご両人とも「政治とカネ」で秘書らが逮捕されたりと真に不健全なカネに振り回されていたのは、ご存知の通りである。これに加えて普天間基地の移設に拘る大失敗もある。首相は口を開けば「県外へ」と叫びながら米国の猛反発もあり、結局は辺野古沖の埋め立てに決めて「日米合意」となったけれども、この失政は安全保障の問題でもあり、首相の責任は極めて大きい▼政治に夢は大切ながら、現実の課題をいかに解決するかが問われるものであり、この意味でも「子供手当て」などのポピュリズムなものばかりで国が抱える900兆円かの借金への対策もなく、このままではニッポン破産も起こりえる。これらのバラマキ政策も、近く実施される参院選挙を有利にするためのものと見ていい▼と、昨今の日本を取巻く情況は厳しい。この難関を乗り切るべく菅直人氏が新しい代表になり首相に選出されたが、果たして名宰相になれるのかどうか。小沢氏の排除を打ち出して政権の番頭に仙谷由人氏を選び、反小沢派を多く抜擢するようだが、150人を擁する小沢派を抜きにした民主党を語るのはとても危なっかしい。そんな事で新内閣は綱渡り政権になる可能性もかなり高い。(遯)