ニッケイ新聞 2010年6月12日付け
2010(平成22)年春の叙勲伝達式が10日午後3時から、在サンパウロ総領事公邸で行われた。同管内では邦人受勲として西谷博さん(90、鳥取県)が旭日双光章を受章。当日は家族や、知人、鳥取県人会関係者など多数がお祝いに駆けつけた。同日夜には文協貴賓室で祝賀会が開かれ、今回在ブラジル日本大使館管内で瑞宝中綬章を受章した山中理さん(75、北海道)も参加。32日系団体の代表、家族・知人ら150人を越える人が集まり、受章した二人を祝福した。
車椅子で伝達式に参加した西谷さんは、来賓、関係者、家族が見守る中、大部一秋総領事から勲章・勲記が手渡される際には立ち上がり、しっかりと受け取った。
郷土芸能の傘踊りの普及や、桜、イッペーの植樹活動などの功績が認められ今回旭日双光章受章となった西谷さん。
「人生最良の日。心から感謝いたします。皆さんの支えと、温かい心を糧にこれからも生きて行きたい」と涙ながらにあいさつした。
ニッケイ新聞の取材に対し西谷さんは、「移民にとってはここブラジルが故郷、その中で暮らしやすい社会を目指したのが日系社会。それがあるからこそ、熱意が湧く」と活動の原動力を説明する。家では、妻千津子さんにこの日のことを「最上の喜びだ」と漏らしていたという。
午後7時半からの祝賀会には、共催日系団体、県人会関係者など150人以上が出席。山中、西谷両氏は、小林雅彦在聖首席領事、木多喜八郎文協会長、森口忠義イナシオ援協会長、与儀昭雄県連会長、吉田エドアルド日伯文化連盟副会長、西本エリオ・サンパウロ州議、羽藤ジョージサンパウロ市議ら来賓とともに壇上へ上がった。
木多会長、小林首席領事の祝辞に続き、西谷さん、山中さんがそれぞれあいさつした。
セラード開発の推進はじめ、農務大臣特別補佐官を務めるなど農業分野での日伯交流促進に貢献した山中さん。ニッケイ新聞の取材に、「大変な喜びの他に、責任の重さを感じる。これからがどうあるべきかが大切。今の母の年(100歳)まで頑張りたい」と喜びの中で自らを戒める。
また、エイズ、熱帯病の研究が進むブラジルと近隣諸国の今後の関係にも触れ、「日伯間を含め国と国とのよりよい交流、そこでの日系人の活躍の道を模索していきたい」と話した。
あいさつの後、舞台では西谷さんが普及、継承に尽力した、『鳥取しゃんしゃん傘踊り』が披露され、片隅で西谷さんもそれを見守った。曲目は北島三郎の作詞作曲した「平成鳥取音頭」。華やかな傘が振られ、来場者を魅了した。
森口援協会長の発声で乾杯後、2人は「おめでとう、おめでとう」という声の中で多くの来場者に囲まれていた。