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郵便局の内部抗争表面化=ルーラ自ら業務改善要請

ニッケイ新聞 2010年6月17日付け

 「当日中か翌日配達が売り物のSedexが1週間も経って届いた」「クリスマスカードを1カ月遅れで受取った」などの不満に見られる様に、国民の日常生活にも関わる郵便業務が遅配、不配の繰り返しという状況が長期化。業を煮やしたルーラ大統領がエレニセ・ゲーラ官房長官に対処を命じたのは6月の始めの事だ。
 郵便局内の問題はカルロス・クストジオ局長の管理能力の問題でもあるが、その背景には、同局長と理事6人を指名した政治家同士の対立や内紛といった問題もあった。
 このため、官房長官が局長を指名した民主運動党(PMDB)幹部2人に直接会い、別の人物を指名するよう要請した事は6日付エスタード紙などが報じている。
 ところがその後、連立与党PMDBとの関係を損ねたくない大統領の意向で、局長や理事解任はせず、業務改善要請に止まったというのは16日付エスタード紙報道だ。
 局内では、局長と理事3人がPMDBからの指名、残る理事3人は労働者党(PT)からの指名を受けており、選挙戦を前に連立解体に結びつくような行動は避けたいルーラ大統領。
 15日に持たれたルーラ大統領とジョゼ・フィラルジ通信相、官房長官との会合には、クストジオ局長も同席。通信相は「改善策の提出期限は1週間がメド」としているが、政治家同士の対立や郵便局内の権力抗争に巻き込まれ、郵便局のサービスを利用した日常業務などで迷惑を被っている企業や一般国民への弁明や補償の問題は何も取り上げられていない。
 郵便局業務とそれに絡む金の流れを原因とするPTとPMDBの政治家同士の対立は2005年にも表面化し、メンサロン事件にまで発展したという経緯があるが、1日も早い業務改善が望まれている。