ニッケイ新聞 2010年6月19日付け
【既報関連】ルーラ大統領の裁可後に今年の統一選からの適用と決まっていたフィッシャ・リンパ法が、大統領裁可前に断罪、罷免、辞任となった政治家にも適用される事になった。18日付伯字紙によると、同法適用の対象者には、パウロ・マルフ下議やジョゼ・アルーダ元連邦直轄区知事らの名も挙がっている。
17日の選挙高等裁判所の審議で、大統領裁可前に犯した犯罪で2年以上の実刑判決を受けたり罷免されたりしたケースも対象とする事が決まった同法は、今回の統一戦選挙地図の書き換えにも繋がるもの。それだけに、同法の適用時期や適用範囲の行方には、出馬を考えていた政治家や政党だけではなく、国民も関心を寄せていた。
上院審議時に僅かな修正が加えられ、大統領裁可前からが対象となるか否かは意見が分かれていたものが、6対1の大差で裁可前からを対象とすると決まった事は、インターネットで署名を集めたりしてきた諸団体、国民の声を反映した結果ともいえる。
職権乱用や公金横領などの汚職、環境破壊その他で断罪された政治家や被選挙権を失わないよう辞任した政治家の選挙出馬を制限する同法は、従来は刑期終了後3年で再出馬できたところを8年間出馬不可とするなど、その後の政治生命継続にも影響する内容だ。
今回の決定で、今年の選挙戦出馬不可となったパウロ・マルフ下議を例として見ると、現在78歳の同氏にとり、サンパウロ市市長時代の汚職事件や現在取調べ中の事件の刑期を終えてから8年後の選挙戦出馬は困難だ。
政治生命断絶までいかないまでも同法適用対象となる政治家には、連邦直轄区民主党(DEM)メンサロン事件関係者、職権乱用などで罷免されたジャクソン・ラゴ元マラニョン州知事やマルセロ・ミランダ元トカンチンス州知事、ロンドニア州のエスペジト・ジュニオル元上議などの名前が挙がっている。
ジャクソン・ラゴ氏失墜でマラニョン州知事に就任したロゼアナ・サルネイ氏再選問題では、民主運動党(PMDB)本部が、サンタカタリーナ州同党本部の知事選でのDEM候補支持や大統領選での民主社会党(PSDB)候補支持を否定した事で、マラニョン州DEMの支持を失う可能性ありと18日付エスタード紙が報じている。
各党中央本部と州本部の方針のずれが各地で表面化している事に加え、フィッシャ・リンパ発効で出馬取り止めとなる政治家の後釜選出など、7月の選挙キャンペーン開始までには、様々な動きがありそうだ。