ニッケイ新聞 2010年6月19日付け
6月18日、日系社会は103年目(102周年)への第一歩を踏み出した。「移民の日」の18日当日、サンパウロ市ではサンゴンサーロ教会、イビラプエラ公園、文協大講堂で例年通りカトリック、仏式の慰霊行事が営まれ、参加者らは現在の日系社会繁栄の礎となった先人を偲んだ。今年は島内憲大使が始めてサンパウロ市の追悼行事に出席したほか、亜国ブエノス・アイレス、パラナ州クリチーバから「移民の父」水野龍の子孫たちも訪れた。
イビラプエラ=厳かに開拓先亡者追悼法要=島内大使、総領事も出席
イビラプエラ公園の開拓先没者慰霊碑前で18日午前10時半から行われた「開拓先亡者追悼法要」には各県人会代表者をはじめ約70人が訪れた。今年はブラジリアから島内憲駐伯大使がはじめて同法要に出席。好天に恵まれた公園に、追悼の読経が響いた。
ブラジル日本都道府県人会連合会(与儀昭雄会長)とブラジル仏教連合会(佐々木陽明会長)の共催により行われた同法要。大部一秋在聖総領事夫妻やJICAブラジル事務所の吉田憲次長、木多喜八郎文協会長など日系団体関係者も多数訪れた。
追悼の辞を述べた与儀会長は、「先人の犠牲の上に、子や孫が社会の各分野で活躍する現在がある」と感謝を表すとともに、「二世三世になって日本語でのコミュニケーションに不自由はあるが、先祖がわれわれに残した、威厳をもって真剣に働き、学ぶという財産を次世代に伝えていきたい」と誓った。
初めて法要に参加した島内大使は、「現在の日系人と日系社会があるのは、先人の苦闘と勤勉、熱心な子弟教育の賜物。その努力に心から敬意を表すとともに、同じ日本人として誇りに思う」と述べ、「これからも先人が築いた基盤を踏まえ、日伯関係のため努力を続けていきたい」と話した。
仏連の僧侶による読経が響く中、来賓に続き、35冊の県人会過去帳が並べられた碑の前で焼香し、手をあわせる参列者の列が続いた。
法要を終え、佐々木会長は、慰霊碑建立に尽力した和田周一郎会長(当時)ら県連関係者に敬意を表し、「親から継いだ教えを自信をもって子に伝え、ブラジルでしっかりと育ててほしい。それが先輩への恩返しと思う」と話した。
毎年同法要に出席しているという中村スミさん(81、鹿児島)は、「今年も荘厳な法要で、私も心が清められました。先祖の皆さんが来て、今の私たちがいる。これからも続いてほしいですね」と話していた。