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改善進まぬブラジルの農薬規制=世界のゴミを国内消費=禁止後も継続使用判明=国民の健康は誰が守る?

ニッケイ新聞 2010年6月22日付け

 農産物の残留農薬の問題が一般的関心事になって久しいが、国家衛生監督局(Anvisa)が09年に使用禁止を決めた5つの農薬中3種が現在も農産物から検出されていると19日付フォーリャ紙が報じた。全面的な使用禁止は11年末とはいえ、5月に発表された農務省の報告書では、これら3種の農薬の継続使用が公然と認められているなど、国内の統率は容易ではない様だ。

 5月30日付エスタード紙によれば、08年のブラジルの農薬輸入は71億2千万ドルで農薬使用量は世界一。しかも、ブラジルで輸入増加を見ている農薬の中には、世界各国が使用を禁じたものもあるというのは6月1日付本紙でも既報の事実だ。
 09年末にAnvisaが使用を禁じた農薬5種の内、アセフェートやメタミドホス、エンドスルファンの3種は、発ガン性や環境破壊の問題で国際的にも使用が禁じられていながら、今年5月の農務省報告書でその継続使用が明らかにされた事は、国民の不安を生む原因ともなっている。
 有機塩素系の殺虫、防黴剤エンドスルファンについては、09年の輸入量が08年の1840トンから2300トンに急増。自国では使用を禁じられた筈の農薬をブラジル向けに輸出する国際企業の倫理感も問題視されるべきだが、ブラジルが世界のゴミを国内消費という状況は、眼をつぶっていて良い筈もない。
 連邦直轄区の検察庁は7日、カカオやカフェ、砂糖きび、大豆栽培で多用されているエンドスルファンの国内販売と使用の禁止を司法当局に求めたが、同薬はホルモン系や免疫機能に影響。
 また、有機リン系殺虫剤のアセフェートは多くの植物には無害と考えられているが、同薬が加水分解してできるメタミホドスは、日本での中国製冷凍餃子中毒事件などに見られる様に有害。加熱分解した場合、燐、窒素および硫黄酸化物などの有毒ガスも発生する。
 浸透剤のアセフェートは神経系を冒し易く、メタミホドスはホルモン系疾患や胎児の形成不全などの問題を誘発するが、Anvisa調査では、ピーマン64%、イチゴ36%、ブドウ33%から前記3種の農薬検出。30%の人参からアセフェートとメタミドホス、20%のレタス(アルファッセ)からアセフェート、18%のトマトと4%の米、3%のフェイジョンからメタミドホス検出ともいう。
 販売が禁じられてないため、前記農薬の使用が禁じられたトマトやレタス、米からの農薬検出、使用が認められているフェイジョンやピーマンからの検出量も許容基準以上の事実は、09年の農薬使用量が国民1人当たりの5キロというブラジルの実態も反映している。
 農薬の使用規制は保健省と環境省の管轄で農務省の管轄ではないというが、一方が禁じても他方が認め、販売放置となれば国内統制は困難だ。

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