ニッケイ新聞 2010年6月22日付け
パラナ日伯文化連合会(リーガ・アリアンサ、嶋田巧会長)は、19日午後2時からローランジア市のパラナ移民センターで、パラナ開拓先亡者慰霊祭を挙行した。ブラジル日本移民102周年を記念した今年の慰霊祭には、佐藤宗一在クリチーバ総領事などの来賓をはじめ、マリンガ、アサイー、アプカラナ、バンデイランテスなど近郊各地から約250人が参列した。
法要は沖縄桜の花が咲く晴天の空の下、司会・吉田パウロ氏の開式の言葉により始まった。
ローランジャ仏心寺黒沢慈典導師の読経の後、リーガ・アリアンサを代表して今津貞利氏(移民センター主任)が、「先人の想像も及ばない苦難の上に今の日系社会があることを忘れてはいけない。今後とも日系人の誇りを持って地域、ブラジル国の発展に尽くしていきたい」と霊前に誓った。
続いて追悼の辞を述べた佐藤総領事は、「着任して3年、農業から、政界、医学、教育など様々な分野で活躍する日本人、日系人の方々にお会いした。ブラジルの発展、日伯の一世紀に及ぶ友好関係は日系社会を抜きに語れません」と先亡者を称え、裕子夫人が慰霊碑へ献花し、手を合わせた。
黒沢導師による読経が流れる中、嶋田会長、佐藤総領事を先頭に来賓、一般参列者全員が焼香。
黒沢導師は焼香後の法話で、「毎年行う法要には、今私たちは元気に生きています、という先亡者への報告の意味があります。今日のこの時、この一瞬に感謝いたします」と慰霊祭の意義を語った。
ローランジア文協婦人会、ロンドリーナ生長の家コーラス部「白鳩コーラス」など、6団体の合同で「千の風になって」「海を渡って百周年」「ふるさと」が歌われ、来場者は、100人を超すコーラス隊のハーモニーに聞き入った。
丹フランシスコ多喜男同連合会副会長が閉会の言葉を述べ、移民102周年の記念法要は終了した。
法要終了後、出席者はセンター内の会館へ移り、昼食懇親会を開催。大太鼓も登場した、ローランジャ文協「勇和太鼓」による「喧嘩屋台」などの披露、白鳩コーラスが「コスモス」を歌い、会場には熱気と静寂が生まれた。
嶋田会長、佐藤総領事、西森ルイス・パラナ州議会議員の後、同市のジョニー・レマン市長もあいさつに立ち、「伝統的な祖先を尊ぶ精神が素晴らしく、その行事に参加できたことに感謝すると共に、支援できる事に喜びを感じる」と話した。
一同乾杯の後、食事を囲んでの懇談会が始まった。
当日、アプカラナからは21人の団体が慰霊祭に訪れた。その一人で毎年参列しているという原みちよさん(71)は、「毎年恒例の行事のようなもの。先人を思う感謝の気持を忘れてはいけない」と話した。
嶋田会長はニッケイ新聞の取材に対し「今年は天気もよく、例年よりも多くの人が来てくれたと思う。家族、先祖へのお墓参り、それがパラナ移民にとって一番大切なもの」と慰霊祭への思いを語った。
歓談も弾み、午後5時ごろ、懇談会は終了した。